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ママは育児休暇につき世界を救わない  作者: はぴぴ
1章 ママは自分を救えない
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4 殺人犯行現場

 そうだ、火の魔法は得意な属性じゃないんだ。他の属性なら!


「フリーズ!」


 ぷすんっ…。


 ダメかぁ。凍らせれば美奈子を冷凍睡眠にできると思ったのに…。いやすでに永眠してるっぽいけどさ…。



 物を移動させたり止めたりはできるのだ。それなら、分子振動を止めてしまえば…おお!ペットボトルのお茶が凍ったよ!そして、周囲にすごい霜が。完全に分子振動が止まったら絶対零度だね。やり過ぎたよ。


 よし!これで冷凍保存できる!ずっと維持できるか判らないけど、とりあえず考える時間を稼げる!解凍に失敗したら、細胞が壊れておいしくなくなる…ではなくて再起不能になるかもだけど…。いや、でも、後でなんとか元の身体に戻って復活できるかもしれないじゃん…。



 そうだ、霜まみれになるのはやばそうだから…真空?窒素充填?でも密閉できそうな入れ物は…燃やすゴミ袋…火葬はしたくないよ!


 ゴミ袋をたくさん地面に敷いて美奈子を瞬間移動で寝かせる。瞬間移動と同時に向きも変えられたんだけど、美奈子は助手席にいたので、座ったままのような格好だ。長いと車に積みにくいから、体育座りみたいにしてしまおう。けど全く持ち上げられない。女神は筋力が全然ないようだ。どおりでドアノブ引けなかったわけだ。今まで箸より重い物を持ったことがないんじゃないかな。念動で動かせば良いか。

 そしてゴミ袋をたくさんかぶせて、少し空洞を作りながらガムテープでぐるぐる巻き。うわっ、子供、起きてないよね。見られたら殺人の犯行現場にしか見えない!とりあえずこんなので完全には密閉できないけど、これでオーケー。


 そして、身体と包装の間の空洞から酸素と水分を瞬間移動で外に排出!よしっ、二割くらい潰れた。残りの八割はだいたい窒素のはず。見ても判らない混合気体から一部の分子だけ移動できるってことだ、たぶん…。そして周りから窒素を少しずつ中に瞬間移動させて、包装を膨らませる。空気漏れを見つけたら、ガムテープで補強する。ガムテープ工作は得意だよ!


 あっ、ついでにウィルスとか雑菌とか、これらは包装の隙間だけでなく、体内のも抜いちゃっていいよね。んー、出てきたかどうか判らん。手元に持ってきて吸ったら、咳出たりするかな。そんな調べ方いやだね。うん、プラセボ効果ってことで。

 それから、食道とか胃袋、腸とか膀胱の中身も空っぽにしておこう。この身体に戻れたときに、いきなりお漏らしとか嫌だし。うん、胃カメラってこんな感じだよね、たぶん。

 さっきから、雑菌とか汚物の瞬間移動先はどこかって?太平洋のどっかだよ。日本とハワイの中間あたりをイメージ。埼玉からそんな遠くにちゃんと飛んだか知らんけど。誰かいたらごめん。宇宙にすればよかった。


 さて、酸素も雑菌も取り除いたはずだし、腐る心配そんなにないよね。絶対零度はやり過ぎだから、マイナス三十度まで分子振動を減速っと。

 ふぅ。火葬とか腐敗よりマシだけど、なかなか勇気のいる決断だった。元に戻せるよね?きっと。真実の愛さえあれば。

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