38 ストレージ
ストレージの中に見える小さな家の中を見てみようと思って、透視の視点を十センチずつ下に下ろしていく。ところが、いっこうに家に到達しない。
今度は一メートルずつ下ろしていく。すると、徐々に家は大きくなっていった。二十メートルくらい下ろしたところで底に到達した。そして、目の前には普通に人が住めそうな屋敷。
探検しよう…
「おい、大丈夫か?ぼーっとして。魔力を使いすぎたんじゃないか?」
「はっ、ごめんなさい。大丈夫です。ストレージ、すごいですね。なんだか大きいのができてしまいました。今日はこれに野草を入れられそうです。」
「クリエイトストレージは、魔力を限界まで使って作るもんだけど、魔力が残ってるのか?オープンにも魔力を使うんだぞ。だいたい一日に十回くらいしかオープンできないんだ。ゲートを狭くすれば、消費を抑えられるけど、クリエイトしたら、もうオープンできないんじゃ?」
「あれ、どうしましょう。じゃあゲートを閉じるにはどうすれば?」
「手の平をゲートから離せば消える」
…………手の平を離したのに、ゲートは消えなかった。
「……どうなってんだ…。こんなのは初めて見た。クローズゲートの呪文唱えてみろ。消えるかもしれないぞ」
「クローズゲート!」
やっと消えた。謎空間に謎の屋敷を見つけたのに、探検しないまま誰かに先を越されたらどうしようかと思ったよ。
「消えたな。もう開け閉めで魔力を無駄遣いするなよ。ゲートを開けたまま移動することもできるけど、移動には魔力を食うから、結局は普段は閉めておいて、ある程度野草がまとまったら、開いて入れるといい。けど、もう魔力が残ってるか分からないから、無理はするなよ」
「はい、分かりました。いろいろ教えてくれて、ありがとうございます」
「もう家族なんだから、これくらい当たり前だ」
スローはまたそっぽを向いてしまった。
「コネットねぇは競争なんて言ってたけど、スルーだ。おまえは初心者だし、俺がついててやるよ」
まだそっぽを向いたままだ。
「ありがとうございます。スローさんは優しいですね」
「だから、こんくらい当たり前だ。それと、俺に丁寧な言葉なんて使わなくていい」
スローはそそくさと歩き出した。
「はい…。…あっ、うん…。」




