35 昼食
「ゆうき、あいか、お野菜も食べなきゃダメよ」
「えー、野菜嫌い」
お姉ちゃん肌のコネット。反抗するゆうき。無言でパンを食べ続けるあいか。すみません、私の食育がダメなんです。
「美奈子もパン食べなきゃダメじゃない!」
「ご、ごめんなさい…おなかがあまりすいてなくて…」
十四歳の子に怒られちゃった…。しかたなく、パンを口に運ぶ。
……吐きそう。耐えられず、胃袋の中のパンを、海底に瞬間移動させた…。食べた振りをして捨ててしまった…。財政難ではないとはいえ、もったいない。私は草食動物なのかな。あ、でもスープの中の干し肉はすんなり入った。単に量の問題かも。
申し訳ないと思いながらも、ちまちま飲み込んだパンを、その都度、胃袋からを海底に飛ばした。
私は相変わらず超能力を駆使して自分の身体と戦っている。一番の敵は、知らない世界でも、魔王でもなく、自分自身。
「コネット、スロー、午後は美奈子をハンターギルドに連れて行ってあげてください。ギルドに登録して、仕事の仕方を教えてあげてください」
「はーい。美奈子、一緒に仕事頑張ろうね!」
「はい、ありがとうございます」
スローは相変わらず無言。
「ゆうきとあいかは、午後はまた魔法のお勉強でもしますかね。今度は庭で」
「うん。もっと魔法使いたい!」
「魔法の力!魔法の力!」
「コンデとインダスも、そろそろ魔力量が回復していますね。二人も一緒にやりましょう」
「「はーい」」
「あ、私、さくらを見てなきゃ…」
「さくらちゃんは私が面倒見ておきますよ」
「す、すみません」
でも産後二日目で、一人で遊び…じゃなくて仕事に行っちゃう母親ってどうなん?赤ん坊用の篭があるってことは、以前誰か赤ん坊がいたってことかな。
それよりも、うちの子ら二人を人に預けるのが心配…。いや、うちの子らっていうと、もうさくらも含まれるんだね…。おっと、行く前に、あいかのおむつの中身も海底にポイしよう。紙おむつ、永久に再利用可能!
「じゃあ私たちは、ギルドに行くわよ、美奈子、スローも」
「はい」
まっ、なるようになるか。
ギルドの看板には「ハンターギルド」とカタカナで書いてあった。どんな経緯で、この地に和製英語が生まれたのか全く分からない。そういや、みんなの名前も和製英語なのかな。英語かすらわかんないけどね。
中は郵便局の支局みたいな間取りで、女性職員がカウンター席に二人、男性職員が奥に二人。
飲み食いする場所はなく、掲示板を見ている人が数人、一方のカウンターに並んでる人が数人。私はコネットに、人がいない方のカウンターに連れて行かれた。
「この子、登録お願いします」
「やあコネット。見ない顔、…見ない髪色だね。十歳の孤児のギルドデビューかな。ギルマス~、登録だってさ~」
奥から四十代くらいのおじさんが出てきた。




