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ママは育児休暇につき世界を救わない  作者: はぴぴ
2章 ママは普通に暮らしたい
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34 封印された超能力

「さくらは私がどうにかしますので、すみません、ちょっと一人になれる部屋を貸してくれませんか?」

「はあ、それなら、物置部屋しかないですが、ちゃんと掃除はしてあります。そこでいかがでしょう」

「それで十分です」

「こちらへどうぞ」

「ありがとうございます」


 よし、ここならこっそりアイテムボックスも使えるね。でも命からがら何も持たずに逃げてきた設定だから、やっぱり哺乳瓶を人に見せるわけにはいかないなあ。

 普通に授乳するかな。まずは部屋とさくらと自分の汚れや雑菌を瞬間移動してっと。おっと、ほんのり良い匂いがするね。最初はそんなに臭くないんだ。おむつの中のうんちとおしっこも瞬間移動!どこかって、それは滅びた大陸との中間あたりの海底だよ。海上に誰かいたら大変だしね。


 だぼだぼのシャツの下からさくらを入れて、念動を駆使して手ぶらで授乳。手ブラじゃないよ、手ぶらだよ。念動の手ブラはしたままでも邪魔にならない。もはや手放せない物になってしまった。

 さくらはあんまり飲んでくれなかった。もっと飲んでくれないと溢れそうだから、あいかにも飲んでもらいたいんだけど、ここじゃそういう我が家の非常識が実行できない。ああ、昨日みたいに搾乳して哺乳瓶に入れてアイテムボックスに入れておけばいいか…。以前それを冷蔵庫でやってみたけど、一日で臭くなってしまった。でもアイテムボックスならいくらでも貯めておけるね。

 さくらの声は産声以来聞いてない。表情もない。ただ、黙々とおっぱいをすすって、ぼーっと何かを見つめて、あとは寝るだけ。見つめているように見えて、焦点も合ってないし、時々寄り目になったり。まあ生後二日目ではそんなもん。目が開いてるだけマシかも。

 でもそれだけでかわいいね。耳に毛が生えてても、尻尾があっても、罪はないよね。ネコ耳は悪なんて言ってた自分が嘘みたい。もう、すべてがかわいい。


 さて、私もあまりおなかが減らないのだけど、省エネタイプの生物なのかな。どうしよう、またご飯を残しちゃいそう。



 食堂に戻ったら、昼食の準備はほとんどできていた。私はさくらを篭に戻した。


「ごめんなさい、手伝えなくて」

「気にしないでください。さくらちゃんは大丈夫ですか?」

「はい。…あの、…その、私、この子の母親みたいなんです…。だからその授乳してきました」


 神父さんには隠さなくていいよね。でも、人間換算で十歳だと思われてたから、言い出しにくかったんだよ。子供相手にはもっと言い出しにくいな…。


「おお、そうでしたか。あっ、え?獣人?」

「えっと、すみません、この子の父親のことは、何も思い出せません…」


 あぁ、なんだか込み入った話になってきたなぁ。ホントに自分でも知らないから、もう話すの面倒になってきたよ…。

 でも神父さんも突っ込んではならないと思ったみたいで、疑問を胸の奥にしまい込んでくれたようだ。

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