32 神父さんの魔法
「しかし、まさかここまでとは思いませんでした。これなら庭でやればよかったですね。ちょっと掃除をしますから離れていてください。精霊よ!ウィンド!」
神父のペンタムさんは、手のひらを斜め下四十五度くらいに向けて、強力な風を噴射し始めた。ブロワーみたいな感じ。それで椅子や床の水を集めて、裏庭に通じるドアに向かっていった。
この威力と持続時間。風魔法の消費魔力量を水魔法のリットルに換算する方法は知らないけど、神父さんは結構な魔法の使い手に違いない。
「神父さんの魔法すごいね!」
「風を起こす魔法ですよ。風も精霊が運んできてくれますよ。精霊にお願いして、呪文はウィンドです」
「精霊さん!ウィンド!」
「あいかも!ウィンド!」
二人とも神父さんレベルの風を噴射し始めた。コンデとインダスはぽかーんとしている。神父さんも驚いた様子だ。私は参加しない。
しかし、ゆうきとあいかの方向は裏口とは無関係だ。
「ちょっ、こっち向けないで、あわわっ」
ダボダボのワンピースがふわりと舞い上がった。慌てて前側を手で押さえて、神父さんに見られるのを死守した。でも後ろ側は完全にオープン。二重にはいてる天使のスカートなど何の防御力もない。
ああ、私の手はいっぱいあるはずなのだけど、とっさには使えなかったよ…。
ずっとパンチラ見られても気にしないと思ってたのに、この身体が私だと認識したからかな、もし神父さんに見られてたら、ちょっと恥ずかしい。
後ろを振り返ったら、インダスがいたけど、ゆうきたちの風魔法に気をとられたままだった。六歳男子はまだ美人のお姉さんのパンチラに目を奪われることはないようだね。私も自分の息子くらいの子に見られても、気にしないよ。
「ふぅ、これ以上は無理ですね。しかし、参りましたね。私はこれでも宮廷魔道士を務めていたこともあるのですが…」
神父さん、やっぱり凄い人だったよ。




