31 実技訓練
「それでは、実際に水を出してみましょう。コンデとインダスはさっきやったから、お休みです。ゆうきとあいかは、このコップにいっぱいになるまで出しましょう」
「「はーい」」
「それではまず精霊に祈りを捧げます。この川の絵を見てください。精霊はこの川から水を運んでくれます。水を運んでくれる精霊に、ありがとうと言いましょう。はい、言って」
「ありがとう!」
「せいれいしゃん!」
「ありがとう」
元気よく言うゆうき。言われたことを理解しないあいか。淡々とお礼を告げる私。気にとめもせず続ける神父。
「そうしたら、次はコップの上に手をかざして、精霊が運んでくれた水を手のひらから少しずつ出すことを思い浮かべながら、ウォーターと唱えましょう。」
「「「ウォーター!」」」
私の手のひらから、ちょろちょろ水が出始めた。イメージ通りだ。
そして、それと同時に、私の隣では、ゆうきとあいかが…
ばっしゃーん。
バケツいっぱいくらいの水が出て、あっという間にコップから溢れた。うゎ、二人でやらかしやがった!どや顔してんじゃねーよ!
「少しずつだって言ったでしょう!気分は悪くないですか?しかし、二人ともなかなかの才能ですね。本当に魔法は初めてなんですか?」
「こんなの初めてだよ!」
「私も魔法の力!」
「すみません、言うことを聞かない子たちで…。床を拭きますね。コンデ、インダス、ぞうきんはあるかな?」
「ぞうきんはこっちだよ」
「ねえ、二人ともすごいね!将来、魔法使いになれるね!」
「でも、魔法の使いすぎは、気をつけなければダメですよ。魔法を使い続けると、あるとき突然魔力が切れて、魔法が使えなくなるというものではありません。
魔力の限界は曖昧です。限界に近くなると、まず魔法を使いたくなくなってきます。これは警告のサインなので、基本的にはここで魔法を使うのをやめてください。
警告を無視して魔法を使い続けると、怒りがこみ上げたり、悲しくなったりして、負の感情がわき上がってきます。さらに魔法を使い続ければ、心が壊れて廃人になってしまいます。
基本的に魔力量の少ない者は魔力も小さいため、一気に魔力量を使い切るようなことはできません。だから、うっかり限界を超えることは、まずありません。でも、負の感情を我慢して使い続けてはダメですよ。
あ、こらっ!話を聞きなさい!」
神父さん、長文乙すぎるよ。あいかは最初から聞いてないし、また水を出して遊んでるよ。いろんなところに水をぶっかけて回ってるよ。
ゆうきは普段こういういたずらはしないんだけど、あいかと一緒になると幼児退行して、あいかのマネをしてしまう。もはや、ぞうきんでどうにかなるレベルではない。




