28 精霊魔法
「あなた方は朝食は取られましたか?もしかして、逃げてきて数日何も食べてないのでは」
「あっ、そ、そうかもです…」
もう私たちの設定は、神父のペンタムさんに全部作ってもらった方がいいのでは、というくらい私は何も考えていなかった。
コンデちゃんが棚から木製のコップを取りだしてきた。そして手を上にかざして…
「精霊よ、ウォーター!はい、どうぞ」
手のひらから水が現れ、コップの中に収まった。
「すごい!魔法だ!」
私に差し出されたコップは、ゆうきに取り上げられてしまった。
「ねえねえ、魔法の力、もっと見しぇて」
あいかも興味津々だ。
「ごめんね、一回使ったら何時間か休まないといけないの」
すると、今度はインダスがコップを取ってきて、
「じゃあ僕が。精霊様!ウォーター!」
あいかにコップを渡した。
「わーい」
「魔法が珍しいですか?」
神父さんが二人に問いかけた。
「僕、魔法使えないよ。どうやるの?」
「あいちゃんも、あいちゃんも」
「精霊様にお願いして、呪文を唱えるんだよ」
コンデが教えてくれた。
「精霊様って何?」
「それはですね、こっちにいらっしゃい」
神父さんは礼拝堂の方へ向かっていった。
飾ってある川の絵の中の、水色のヒト型を指さす。透視で見たときは、水色のヒト型には気がつかなかったよ。
「川や大地、自然には精霊が宿っていると言われています。ほら、これが水の精霊です。水や食などのめぐみは精霊が与えてくださるのです。精霊への感謝を込めて祈りを捧げると、精霊はそれに応えて、さらに魔法のめぐみを与えてくれます。これを精霊魔法といいます」
神父さん、難しいよ。うちの子じゃ理解できないよ。あいかはスルー、ゆうきはぽかーんとしている。
そんで、なるほど、精霊様か。私はさくらを椅子の上に寝かせて、皆と反対を向いて、右手の人差し指を立てて小声で、
「精霊よ、ファイヤボール」
すると、指の上に小さな火の玉が現れた。
なるほど、この世界に来たばかりのときに唱えたファイヤボールは、祈りが足りなかったんだね。
「あなた方の村は魔法を教えてなかったようですね。魔法についても、今後勉強していきましょう」
神父さんに急に話しかけられたので、私は慌てて手を後ろに回しながら振り向いた。そしたら誤って、左手で火の玉を触ってしまった…。
「あぢぢぢぢ!」
「どうなさいましたか?」
「な、ななな、何でもないです」
「はぁ」
すぐに火の玉は消えたけど、左手を軽くやけどしてしまい、変な声を出してしまった。髪は結んであったので、焦げずに済んだ。




