25 女神様の名前
「そちらは赤ん坊ですか?銀髪ならエルフかもしれない。んっ?耳がある?獣人でしたか。」
神父さんは勝手に盛り上がってるけど、驚いている訳ではないようだ。私が言葉に詰まっていると…
「いやいやすみません。記憶がないのでしたね。困らせてしまいました。あまり詮索するのはよしましょう」
「すみません…」
「ここは孤児院もやっていますので、しばらくここで、他の子供たちと一緒に過ごしませんか?そのうち何か思い出すかもしれません」
「いいんですか?四人も一度に増えて、ご迷惑では…」
「昔は十人以上いたのです。最近は戦争もなく、孤児も減ってきましたから、大丈夫ですよ」
「それならお願いします。お金も持っていないので…あ、そうだ。お金を稼ぐ方法を教えてもらえませんか?お世話になるからには、お返ししないと…」
そう、それを教えてもらいに来たのだ。孤児院に入るかどうかは、どっちでもよかった。
「焦らなくても大丈夫ですよ。ここの子供は十歳になったら、ハンターギルドというところに登録して、町の住人から依頼される雑用を請け負ったり、森で小動物を狩ったりして、働きます。下のお二人はおいくつでしょう?あ、いや、いいですよ。十歳になっていないのは確かですし。あなたは実際の年齢は分かりませんが、外見的には十歳としておいて、ギルドに登録してもいいのではないでしょうか」
「はい、そうさせてもらいます」
「それでは皆に紹介しましょう。ああ、名前が分からないのでしたね。そちらのお二人も?」
「僕はゆうきだよ。七歳だよ。こっちは僕の妹のあいか」
「私、あいかちゃん。四歳!」
と言って、指を三本出すあいか。しかも、中指と薬指と小指を出す、謎の数え方。
「ママぁ、名前忘れちゃったの?ママの名前は美奈子だよ」
「あっ!…えーっとそうかも…。私は美奈子…」
ん~。まあ本名をばらすのはいいか。でもこの西洋人の顔に美奈子はないよなぁ。
なんかこの女神の姿が美奈子という名前で呼ばれた途端に、それが自分だという実感がわいてきた。それとともに、アイテムボックスで凍っている美奈子の名前がなくなってしまった気がした。
そうしたら、涙が溢れた。




