24 異世界人と初対面
ドアをノックしてみた。食堂はこのドアのすぐ向こうではなくて、廊下を挟んでもう一枚扉を隔てたところなのだ。強めにノックしたつもりだけど、女神様の腕力では未熟児を抱えるかシフトレバーを二速に入れるくらいしかできないので、大きな音は鳴らなかった。
「すみませーん」
透視でずっと監視してる。気がついたみたい。よかった。
「はい、どちら様ですか?」
「あの、かくまってください。剣を持った人たちがやってきて、私たち、襲われて逃げてきたんです。」
嘘は言ってない。騎兵だから剣を持っていたはず…、たぶん。
「それはまた大変でしたね。私はこの町で神父をやっているペンタムといいます。どうぞこちらへ」
応接室に案内された。
「失礼します。私の名前は…」
女神様の名前なんて知らないよ。
「座ってください。それで、どちらからいらしたんですか?」
「みんな、村と呼んでいたので、村の名前は分からないのですが…」
「そうですか。あなたはエルフなのですか?」
「えっ?あ、」
それを一番知りたいのは私。
「私、村が襲われる前のこと、何も覚えてなくて…自分のことは名前すらも分からないんです。気がついたら、騎兵に襲われているところでした。私はエルフなんですか?」
「エルフの髪色はシルバーなのです。ピンク色がかったシルバーのエルフがいるか私もよく知らないんですが、エルフに近いのかと思ったのです」
「なるほど…。エルフに近いって…混血ってことですか?」
「おそらくそうです。ヒト型の生き物は皆、交配できますから。あなたは落ち着いていらっしゃるし、難しい言葉も理解されているようなので、人間としては子供に見えても、実際には何十年と生きている、エルフか何かの種族だと思ったわけです。だから、私は最初からあなたを子供とは思わず接していました」
なかなか鋭いな。女神様の年齢は知らないけど、中身はアラウンド○ティのおばさんですよ。いや、ここにはもう一つ紛らわしい要素があって、小さいから十歳に見えているけど、実際は出産しているし、しかもボンっキュっボンっですよ。人間に換算すると成人相当のエルフなのでは?
「ねぇママぁ。この人誰?」
「神様になむなむする人だよ」
「こちらのお二人は?お二人は兄妹なのでしょうか。いや、覚えてないのでしたね。黒髪の人間は珍しくないですが、あなたと血のつながりはなさそうですから、あなたは村で小さい子らの面倒を見ていたのではないでしょうか。」
設定が穴だらけで、ゆうきたちと口裏を合わせておくのを忘れてた。いや、ゆうきはともかく、あいかにそんな芸当はできない。私だけ記憶喪失キャラでごまかせないかな。相変わらず私は無計画だ。




