14 出産チート 四
おなかの中を映していた透視カメラを、おなかの外に移動させて、赤ちゃんを見回す。だって下を向いてもメロンしか見えないんだよ。ってか仰向けになると、メロンが重くて苦しいよ…。
「……マジで耳と尻尾あるんだ……それ以外の部分は人間かな…」
耳と尻尾のインパクトが強すぎて確認を忘れてたけど女の子だ。瞬間移動で身体だけ持ってきたから、汚れてもいないし濡れてもいない。あっ、でもへその緒は早く結ばないと。出血してる。
透視で見ながら、へその緒を結ぶ。そして手で赤ちゃんの首を支えながら抱き上げた。三回目ともなると、慣れたもんだよ。いや、こんな生物を抱き上げるのは初めてだけど。
「小ちゃいねー」
「ホントに小さいね」
「わたし、これほしい!」
「ぬいぐるみじゃないからね」
これ未熟児なのでは…。この生物の標準が分からないけど。一キロもなさそう…。でも結構ずっしり。いや、女神様の力がないだけか。
破水したから産むしかなかったけど、八ヶ月くらいかな?これは集中治療室行きなのでは?とりあえず車内の衛生管理はバッチリだけどさ…。と思っていたら案の定……
………動かないんだよ!息してないんだよ!産声がまだだった!
気道と肺にある羊水を外に瞬間移動させる。まだ泣かない。
透視で体内を見る。心臓が動いてない。心臓ってどうやって動かせばいいの?おらおら揉めばいいの?
AEDの電圧って何ボルト?ペースメーカーは?静電気みたいに瞬間的なら、千ボルトとか一万でもいけるかな?
血液を直接移動させる。たぶんこっちが動脈。
人工呼吸?肺に直接酸素を瞬間移動させる。
何でも試してみたよ。現代科学もびっくりの超出産技術と蘇生術だよ。お願いだから生き返って!おかしな生物だけど、私の大事な三番目の子供。
「おぎゃあっ、おぎゃあっ、おぎゃあっ」
「あっ、赤ちゃん、泣いたよ!」
「赤ちゃん、動いたよ!」
「よかったぁぁああうゎーん」
思わず泣いちゃったよ。父親が分からないどころか、母親もわからない。いや、この身体が母親なのは間違いないけど、この身体が誰?って感じだし。明らかに他人の子供を産むことになったのに…、人間ですらないのに…、悔しいけど今までの出産で一番感動しちゃったよ。
………………。
耳と尻尾は犬かな?狼かな?私は犬も猫も好きなんだけど、猫耳萌えとか嫌いだったんだ。だけどね…、自分で産んでみるといいもんだね。耳がたれてるとか、犬のかわいさも持っていて、さらに赤ちゃんのかわいさも持ってるなんて、反則だね。




