110 脱出開始
さて…最近私たちが脱走を企てていることを察知したのか、透視で周辺を見てみたら、隣の部屋と天井裏から覗いてるやつが…。王女の部屋なんだけど、せめて女スパイよこしてくんないかな。着替え覗いてた男なんて、二酸化炭素中毒をお見舞いしてやろうかと思ったけど……
「メリディ様、何をぼーっと…」
「今日は、…えっと、私のクローゼットを整理します」
「えっ?今日は、だ…」
脱出を言おうとしたところで、口元の空気の振動を念動で止めた。自分の声は骨伝導で聞こえるだろうけど、聞こえ方が変わって、慌てているイメール。
私は私の口からイメールとウィズまでの導線を残して、周囲の空気振動を止めて、
「部屋の周りに、見張りがいるよ。聞かれるから、黙って私のストレージに行こう」
私はゲートをひらいて、皆でストレージに入った。半日ストレージの中にこもって、出てこなかったことは何度かあるし、さすがにここまでは入ってこない。以前はクローゼットルームに直接つないだけど、今回は屋敷の外にしたので、外から覗いても私たちのことは見えない。
「今日はこっちの部屋で遊ぶの?」
「私、ドレス着る」
「いいからおいで」
ストレージの屋敷の中で作戦会議。
「さっき、こっそり言ったけど、部屋の外に監視がいるよ」
「ということは、私たちの動きに感づいているのですね…」
「えっ、どうしましょう…」
イメールは落ち着いて次の策を練っているみたい。ウィズは慌てだした。
「まあ、ここまでは入ってこないだろうから、落ち着いてね。二人は普段着に着替えて」
「はぁ」
「は、はい」
「私は…」
イメールの注文したゴスロリ衣装をちらっと見たあと…、自分の注文したお忍び衣装の一つに手を伸ばした。
「メリディ様、こちらを町中で着ていただいても構わないんですよ?」
「べ、別に、それを着たいなんて思ってないから!はっ…」
「メリディ様…完璧なツンデレです…メリディ様に仕えることができて、幸せです…」
「ちょっ。いや、何に幸せを感じてるのやら…」
イメールはニヤリと頬が上がったあと、崇拝モードになった。
「結局、そちらを着られるんですね。残念」
「いやぁ、あれじゃやっぱり、お嬢様以外の何者にも見えないでしょう。良い素材使いすぎだよ。町中にでるんだから、できるだけ平民に紛れなきゃ」
「メリディ様…あなたを平民に溶け込ませるなど不可能です」
「私、インテラスで平民やってたよ」
「皆に平民だと思われていたと?」
「そういえば、孤児院のみんなも、ギルマスも、誘拐犯も…」
「誘拐犯…、メリディ様が町中に一人で歩いていたら、カモにしか見えませんよ」
「カモ…」
監視のために透視を使ってTPPで見たことは何度もあるんだけど、んー、あまりにも容姿が現実離れしすぎて、ゲームキャラを見ているような感覚しかなかったかも…。




