106 メイドさんお持ち帰り
「それで…仕立屋さん。あなたは早く、私が注文した分を作ってください。どうせイメールにそそのかされたんでしょう。なんで私じゃなくてメイドの言うことを聞いてるんですか!」
「も、ももも、申し訳ございません…。女王陛下の戴冠式のドレスだから、最優先とお聞きし…」
「はぁ、もういいです。イメール、あとの二着も同じようなのじゃないだろうね」
「気になりますか?それはお楽しみに取っておきましょう」
「おまえ、なんも反省してないのな!」
「メリディ女王陛下、言葉が乱れております」
「もう、女王ごっこはおしまい!」
「何をおっしゃいますか。これからですよ!」
はぁ。私、だんだん暴君になってる気がする。このままだと、マジで君臨しちゃいそう。でも、みんな逆に言うこと聞かなくなってるよね…。
今日は他に、子ども達の分を持ってきてくれていた。あいかが選んだのは、ピンクのかわいらしいドレスと、水色の大人っぽいドレス。まずはピンクのほうを試着して、はしゃいでいる。おもちゃとは違うね。髪を伸ばしてて良かった。立派なプリンセスだよ。
ゆうきはつまんなそうにしながら試着。まあ、七五三のときもこんな感じだった。あ、七五三では、写真撮影でおふざけでゆうきにもレンタルドレスを着せたんだった。あれ?もしかしてそっちが良かった?
そして、さくらのドレス。かわいすぎる…。さくらの髪と同じ、薄ピング。大きめに作ったけど、すぐに成長するよね。今まで三ヶ月も、二十キロ児用おむつを肩まで着せて、毛布でくるんでただけなんて、育児放棄寸前…。でも、ドレスを汚されたら嫌なので、ぶかぶかのおむつは卒業できない。ってか、この世界のおしめってどんなん?紙おむつは匂いも軽減するから、これははかせたままでいいよね。でも、もうちょいフィットするように、改造しようかな。
それから、一週間後、つまり五日間後。仕立屋さんは再びやってきた。だいぶ早いね…。またおかしなもの持ってきてないよね。
「こちら、女王陛下じきじきのご注文の品です」
女王じゃねーっつうの。差し出されたのは普段着用三着、お忍び用三着。
「なんで私の注文したやつ六着全部が五日間で…」
「これくらいの品ですと、子爵家や男爵家からでも注文がありますので、素材の在庫は常にございます」
「はいはい、私は男爵令嬢レベルのものしか注文してないってことですね」
「そ、そういうことでは…。も、申し訳ございません…」
よし!ほしかった普段着とか手に入ったし、もう出て行こうかな!あとの二着?先払いしたから、ちょっともったいないな…。でももうここの人たち面倒だよ…。
「メリディ様…私はメリディ様がどこに行かれようと、一生お仕えします…」
「えっ…。わ、私がどこに行くって…?」
「私は女王陛下に仕えられると思って舞い上がっていたんです。でも違ったんです。私が仕えたいのは、メリディ様、あなただったんです」
「私が女王にならなくてもいいの?」
「はい。私を侍女にしていただけるなら」
イメールさん…。私のどこが良いのかな…。私、好き勝手やってる、ただの居候なんだけど…。
「あのー…。イメールを連れていくなら、私も侍女にしてください!あっ…ゆうき様とあいか様のお付きとしてでもいいです…」
なんでウィズまで…。
「ちょっと、声が大きいよ」
「も、申し訳ございません…」
「私、今、働いてないからなぁ…。ストレージにあるアクセサリとかを食い潰したら、もう給料出せないよ」
「あれは…一つで子爵家のメイド二人の一生分の給料を支払っても、余ると思いますが…」
「あれ…そんなもんなの?」




