102 姫様のストレージにご招待
「イメール、頼みたいことがあります」
私専属のメイド、イメール。青ざめないでね。
「は、何なりとお申し付けください」
「こっちに来てください」
と言って、私は姫様のストレージ改め、メリディのストレージの中の、クローゼットルームにゲートを開いた。すると、イメールは青ざめてしまった。まだまだ修行が足りないね。
「こ、ここ、これは、ストレージなのですか?」
「そうです」
「そ、その…、ストレージの中に入るというのは、初めてでして…」
「大丈夫だよ、怖いことはないよ」
「そうですか…」
「ママぁ、あいかも行く!」
「僕も!」
「わ、私もお供してよろしいでしょうか…」
「お願いします。あ、ごめんなさい、ゆうきとあいかのお世話をしてくださってるのに、あなたの名前を聞いていませんでした」
「私はウィズと申します」
「ウィズ、よろしくね」
三日目にして、初めて名前を教えてもらった。私は会社の同僚とか、三人くらいまでは二週間から一ヶ月くらいで覚えられるんだけど、四人目とか五人目になると、付き合いが薄くなって、覚えるのに一年くらいかかる。まだ二人目だから、覚えられるはず…。
ウィズは十代後半くらいかな。まだそばかすが少し残ってて、やんちゃな感じがする白人系、ダークブラウンの髪。
イメールは二十代後半くらいで、大人の女性の雰囲気がある、やはり白人系、ダークブラウンの髪。
「まっくら!」
「ああ、ごめん。ライト!」
いつも透視で見てたから、明かりを忘れてた。
「わあドレスがいっぱい。私も着たい!」
「あいかにはちょっと大きいなあ」
それに、あいかはプリンセスに憧れているので、ドレスのおもちゃを買ってやるのだけど、ゴテゴテしていたりして煩わしいので、あまり着ないのだ。だから、この世界で大枚はたいてドレスを作ってやるのは、気が引けるんだよねえ。でも、この際だから作ってやるかあ。
「あいかには、こっちの宝石とかアクセサリをあげるよ」
ゆうきには興味を引くものがないかな。
「…ストレージの中に部屋が…」
「ドレスやアクセサリがこんなにも…」
メイドさん二人は、掛かっているドレスや宝石を見て、目を輝かせている。
「イメール、これらのドレスを半分くらい…二十着売って、普段着用ドレス三着と、地味なお忍び用ドレス三着を新しく作りたいの。それから、あいかのドレスも二着と、ゆうきの服を二着。それから、さくらも…。ずっとおむつだけだった…」
そう言ったら、イメールはさらに目を輝かせた。ウィズはうらやましそうな顔に変わった。
「ドレスを売るとどれくらいになるのか知らないのだけど、足りるかな?足りなかったら、こっちの宝石箱の中身を売ってもいいんだけど」
「それでは、お売りになるドレスをお選びください。あと、早急に仕立屋を呼びますね!どんなドレスになさるんですか!」
イメールはテキパキ動き出した。とても楽しそうだ。ああ、もしかして王女殿下のお付きメイドとして、初めてそれらしい仕事ができるって感じ?それなら…
「ウィズ、あなたにも手伝ってもらっていいでし…」
「はい、是非!」
待ってましたと言わんばかりに、喰い気味に返事された。
「あの…ゆうきとあいかの世話も、できれば忘れないでくださいね…」
「はっ、心得ております!」
メイドさんに子供の世話をしてもらう生活、もう捨てられないかも…。
「あと、二人とも、私のことはメリディと呼んでください」
「それでは、メリディ様と呼ばせていただきます!」
「メリディ様…。このイメール、誠心誠意お仕えします…」




