10 旅行に来てバーチャル旅行
何回かワープ航法を繰り返すと、やっと何もない荒野を抜けた。今度は建物のがれきが見えてきた。街だったに違いない。
飛んでるし瞬間移動したから速度が全然分からないけど、多分数十キロはがれきを進んだ。すると海に出た。港町だったんだろう。船らしき残骸も浮いている。
島国なのか、大陸の端なのかは分からない。人っ子一人見当たらない。このあたりは魔王に滅ぼされでもしたのかな。でも死体や血の跡はない。
「ねぇ、ばぁばんち、まだー?」
「ほら、海だよ。」
「ホント?やったぁ。」
このまま海を飛んでいくこともできるけど、太平洋クラスとかだと困る。いや、たぶん、日本からハワイまでの距離を指定して瞬間移動できると思う。その中間には、きっとさっき捨てた雑菌と汚物があるはず…。
浜辺を見つけたので、降りて息抜きしよう。
「わーい、貝殻いっぱい」
あいかは黙黙と貝殻を集めている。
「ママぁ!波が来たら転んじゃった!」
「びしょびしょになってもいいよ」
「わーい」
綺麗な海だね。
子供たちを遊ばせつつ、海の向こうを透視してみた。遠くの場所からの視界を得る能力なので、むしろ千里眼だ。とりあえず、一〇〇キロメートル先を見てみた。おぉ、遠くに島と港町が見えるよ。透視を一一〇キロに変えてみたら、ちょうど桟橋の上だった。透視の距離を少しずつ伸ばしながら内陸に進んだ。
人もいたよ!ちゃんと人間いたよ!ほとんどはダークブラウンヘアーの白人ぽいヒト。時々黒髪で黒人っぽいヒト。時々黒髪で中東っぽいヒト。多民族国家だね。これならゆうきたちは目立たないね。
でもピンク髪はいないや…。やっぱファンタジーな生物は女神様だけなのか…。いや、ファンタジーさにおいては、未熟児ちゃんの右に出る者はいないのでは?
何をしゃべってるのかな。透視で聞こえるはずがない…こともなかった。聞きたいと望めば声が聞こえてきた。盗聴、むしろ透聴能力が加わった。「腹減ったー、朝飯、朝飯」「おい、仕事終わらせてからにしろよ」とか聞こえた。
よし、しばらく浜辺で遊んだら、隣の島に瞬間移動しよう。




