こどおじニートが、単に転生して高校生になるだけの話。
大学を卒業するまでは順調だったんだ。
入る会社を間違えたというわけでもない、
ただ、とあるウィルスが流行った時に
大量倒産に巻き込まれたといえば、
時代のせいにできるのかもしれない。
そのまま、親のすねをかじりながら生きていく、
という野望も長くは続かなかった。
親も衰え、このひきこもる生活も
終わりが見えかけたときに、
俺は何を思ったか、為替証拠金取引に
手を出した。Oーストラリア何てもう信じない。
まあ素人がどうこうでき訳ない額の借金は
あっという間に成長した。
そうして、1度目の人生は終わりを告げたのだった。
気づいた時には、俺は肌が若返っていた。
だが、知らない天井だった。
知らない女子に起こされて、真新しい制服に身を包み、俺たちは登校した。
どうやらこの体は圭太という高校生らしい。
起こしてくれた女子の名前は麻由里というらしい。
2度目の人生にて当たりを引いたと思った。
外れでした。
麻由里は、そのままイケメンの所へ行った。
和樹というらしい。どうやら彼とも幼馴染らしい。
こんなに仲のいい幼馴染に囲まれて、正体がバレてないだって?
俺は、ひきこもり生活を極めた男だ。
元来の口下手も影響している。
転生したぐらいで、美少女やイケメンと話せるわけはない。
まあ、そのうち慣れて会話できるかもしれないが。
今はまだ早い。
そんなわけで、相づち一択である。
それで何とか今日を乗り切るしかなかった。
入学式も終わり、クラスにも行った。
最近の子どもは、すごいな。
皆スマホを持っている。
えっ俺?
家に置いてきてる。
引きこもっていたので、ガラケーが未だに忘れられないし、
持ち歩くことを忘れていた。
転生後にスマホとかハードルは高い。
そもそもフリック入力、何を言っているんだ。
話がそれてしまったようだ。
前後の男子に声をかけられたり、自己紹介なども行われた。
「畠山圭太です。
趣味はネット鑑賞
特技はタイピング
よろしく。」
そんな普通の自己紹介ができれば苦労はしなかった。
言うには言ったよ。ただ絶望的に音量が小さかった。
そもそも、趣味と特技が畠山本人の物かどうかは、もはや些細な事である。
幸いなことに、このクラスには幼馴染や同じ中学のクラスメイトが居なかった。
なので、畠山の趣味が急に変わったということはバレないと思いたい。
そのためクラスでは、単なる陰キャと思われて俺の高校生活が始まるのかもしれない。
そうこうしているうちに、もう放課後だ。
バレないうちに帰ってしまおう。
1度目の人生では味わえなかった。
幼馴染か。幼馴染は名残惜しいが、他のクラスなので見つかる心配も少ない。
幼馴染に未練はあるものの、麻由里と和樹が2人並ぶと絵になる。
あの二人には、これから恋人になってもらおう。
俺のようなお邪魔虫はいらないんだ。
俺はそんなことを考えながら一人で家に下校するのであった。
2
家に帰ると、スマホが光っていた。
おじさんには、スマホは厳しすぎる。
幸いにもロックはかかっていなかった。
男子高校生のセキュリティとは、そんなものか。
いや、これは指紋認証だったのか高性能すぎて、生きるのがつらい。
スマホの待ち受けが開かれると、麻由里からの着信の数が、3つか。
緑線アプリの通知も多いな。
おっと、緑線のアプリを開いてしまうと既読がついてしまった。
しかしおっさんには返信する手段が分からない。
おっさんは、スマホについていけない、こどおじなのだから。
麻由里
「ねえ、今どこ?」
麻由里
「一緒に帰る約束でしょ?」
麻由里
「下駄箱、もう靴がないじゃん。」
麻由里
何やら、怒っているアニメ風の画像が2つ
などに既読がついてしまった。
返信どうしよう。
ピコン
麻由里
「既読無視ひどいよぉ」
ぷるる ぷるる
どうやら電話がかかってきたようだ。
「・・・」
幼馴染らしいが、やはり異性と話すのは緊張する。
「ねえ、なんで黙ってるの?朝から様子がおかしいよ?
体調悪いの?どこ?」
質問が多い。そんなに聞かれても。
「家です。」
「今から行くから。」
今から来るだと。
来られても困る。まだ現状確認や把握が終わっていない。
「あっ、待って。ちょっと調子悪いかも。ごほごほ」
「えっ、咳。大変、すぐ行くから。」
あっ切れちゃった。
何で来るの?そもそも朝だって起こしに来てたし、
麻由里って優しい子なんだな。でも和樹の方が似合ってるし。
そもそも、なんでJKが、俺の家に来るって。
無事に明日を迎えることができるのでしょうか?
3
「けーくん、風邪大丈夫?」
「麻由里か、大丈夫だよ。」
「こんなに汗かいて。」
汗かいてるのは、あなたが来たせいです。
こっちは、正体がバレるかバレないか不安で仕方がないんです。
緊張するけど、話すしかない。
「ま、麻由里、心配かけたけど大丈夫だよ。落ち着いて。」
「着替えないと悪化するよ。」
ちょっとなにー、何この子、服引っ張るのー
フラグが立っているようにしか見えないんですけどー
「顔真っ赤だよ。大丈夫?」
「大丈夫だ」
問題しかありません。
「けーくんが、そこまで言うなら。
しっかり拭いて、着替えてね。
明日も起こしに来るから。」
あ、明日もか。俺は知らない幼馴染麻由里に
呆れられないように毎日過ごしていかないと行けないのか。
調べてみたんだが、俺が今日行った高校は普通の偏差値だった模様だ。
低くもなく、高くもなく、いわゆる自称進学校というやつであろう。
えっ、困るんだけど。それ課題の無駄に多い高校じゃないないですか。
やだー。
もう少し、低ければ教科書も定期試験も簡単になろうだろうに。
まあ、すごい進学校よりはマシに思えるから、それもまた仕方がないか。
こどおじ、ひきこもりの俺に、そのレベルの高校の内容とか無理ゲーでしかないんだがな。
俺の高校生活は、これから長く苦しい物になっていくのかもしれない。
完
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あとがきのコーナー
はい、京安藤しーぷです。
ご覧いただきありがとうございます。
異世界の恋愛より書きやすいですね。
まあセリフが、ほとんどありませんが
主人公モノローグ系は書きやすいですね。
前半の鬱展開は、いらないよね。
まあ圭太くんは、これから麻由里とどうなるのか?
和樹と麻由里をくっつけることができるのか?
これは、こどおじが高校生に転生して
幼馴染をNTRさせる物語にしようとするも、
なんだかんだで、麻由里と良い雰囲気になる
そんな物語になってほしいです。
ありがとうございました。