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第二話 青い空と恋模様

博の車窃盗事件から五日後の昼日中。

綾子は実家に帰り、博は直人の家に、真由美と到はしばらくみゆりの家に厄介になることになった。シェルがしばらく五大都市にいるのでヴァイスは人が変わったように穏やかになり、綾子は複雑な毎日を送っているようだ。

到が残った理由はもちろん、もう少し消された歴史について調べるなり、幸広のから聞くなりしたかったのと、ルシフェルの様子が気になったからである。

あの時、博がルシフェルが悩んでいることに気付き、到に話を聞いてやれと促した。それで到も気になって話を聞いたのだが、それが解決するまでは傍で応援してあげたくなったのだ。


☆ ☆ ☆


一方。

「ホントにどうしたんだろー、ルシフェル……。急にお兄さんの店手伝うとか言い出して」

ルーファウスの開く天使用アクセサリー屋『赤い月』。その仕事を手伝うことになり、ルシフェルとリーナは彼の家に厄介になっていた。

勿論、リーナはルシフェルの行動に納得いかなかった。

神ノエルの生まれ変わりで、世界を救うためと大義の前には犠牲をも厭わぬ合理主義。その為に多くの命を奪った実の兄を、ルシフェルもどう接していいか解らず苦しんでいた。

それを知っているだけに、彼の行動が解せなかった。彼が実の兄と以前のような関係に戻りたいと思っても、それはなかなか難しい話ではある。

第一、彼は何も語ってはいない。全て双子神や召喚獣、ヴァイスから聞いた話を繋ぎ合わせた推測に他ならない。

(…………何か、隠してんじゃないでしょーね)

「そんなに不思議な事なの?」

部屋で悶々としているリーナの横から、ひょいとセラフィが顔を出す。

彼女は普段からこの赤い月の仕事を手伝っているのだが、ここ最近はルシフェルに仕事を任せて、部屋で留守番のリーナの相手をつとめている。ちょくちょくこの物質都市の市場を案内してくれるのだが、それがまた納得いかない。

「だって、仕事の手伝いなら今までセラさんがしてたじゃない。それに、私が仕事手伝うって言ってもルシフェルは留守番してろっていうし、人手が足りないようには見えないけど」

「あー……ごめんね、それセラのせいだよ。手伝いもいいけどたまには街に出掛けたりしたいから、ルーファウスさんにしばらく休みますって言っちゃったの。そしたら弟さんが、リーナちゃんもこの辺見たいだろうし一緒に回ってくれないかって。店は俺が手伝うからって」

「ふ~ん?」

確かにそれなら辻褄が合うが、しかしこの人の良さそうなセラフィが、代わりの人の当てもないのに休むなんていうだろうか。手伝いだって毎日来ているわけではないようだし、遊ぼうと思えばいつだって時間はあるはずだ。

「ホントごめんね、旦那さん借りちゃって。あと2日だけ待ってもらえる?ちょうど一週間の約束だから」

セラフィが両手を合わせて謝る。そこまでされたら、これ以上詮索するのは躊躇われた。

「………まあいいわ。それより、あと二日だって言うならルシフェルのバイト姿見てみたいんだけど、こっそり見に行けるかな? こないだ見に行こうとしたらハズイからやめろとか言われたのよ。……けどやっぱり、気になるじゃない。

リーナはぺろっと舌を出して見せた。

「くすっ、そうだよね。好きな人が働いてる姿ってドキッとするよね~」

「えっ、何もしかしてセラフィさん、ルーファウスさんの事好きとか!?」

セラフィの意味深な発言にリーナは興味津々だった。

「そうだよね~。ルーファウスさんだってルシフェルのお兄さんなんだし、結構格好いいもんね。あっ、こうしてお店手伝いに来てるのもルーファウスさん目当てだったり!?」

「えっ……。セ、セラは別にそんな

真っ赤になって否定するセラフィに、リーナは彼女がルーファウスを好きだと確信した。

「隠さなくていいってー!あ、でももしルーファウスさんとセラさんが両思いだったら、セラさんは私たちのお義姉さんってことになるんだ!わーっ、なんかそれっていいなぁ♪♪」

「ちょ、ちょっと待って!なんかそれ話飛躍しすぎ……」

更に顔を赤くしてあわてふためくセラフィ。まるで数ヵ月前の自分を見ているようだ。

「まぁまぁ。私とルシフェルの時もそんな感じだったけど、数日後にはラブラブだったんだから♪ 人生どう転ぶかわからないんだし、彼さえセラさんを好きになれば、そういうことになるんだしっ」

「そ、それは……そうだけど」

セラフィとルーファウスは近い関係にいるし、それに彼女ほどの器量よしは中々いない。その辺の女天使なんか目じゃない。

ただ一つ問題がある。

ルーファウスは地上の天使達を守るために誰も愛さないと決めていた。だがクロウとの戦いが終わった今、彼はどうするつもりなのだろう。第二の戦いが終わるまで、やはり誰も愛さないつもりなんだろうか。それだけが気がかりだ。

(うーん……でもま、気付いたら咲いてたってのもあるからねー)

リーナは一人悦に入った。おそらく二人の未来はそう悪いものではない気がする。

「そんじゃー、早速二人を覗きに行きますか!」

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