プロローグ
プロローグ
「お前、これだけか?」
白く輝く剣を握りしめていた。
この剣の名前は聖剣エクスカリバー。俺の愛用している剣である。
滑らかに透き通る刃が好みだ。決して、カッコいいとか思ってるから使っているわけではない。この聖剣は俺以外は使えないのだ。
「な、なんだその強さは!?」
口から血を垂らしている男が聞いてくる。
「そうか? そんなに強い?」
剣をブンブン振り回して嬉しさのあまり飛び跳ねていた。
「ちょ、お前! 今、戦ってる最中なのになんだその嬉しそうな顔は!?」
「いや、だって。自分の力を褒めてもらったんだよ? 嬉しい以外に他はないだろ?」
男は何度か頷き、少し経った後に首を振り回して否定してきた。
「命を賭けている時にそんな事を考えるなど! 剣士としての恥だ!」
そう叫びながら地面を力強く蹴り、俺に向かって剣戟を入れてきた。
ギンッと音が部屋中を木霊する。
俺は男の剣を片手に握っている剣で軽々しく受け止めた。
「な、何故だ!? 俺の本気の剣戟を!?」
驚いた表情をしながら固まっていた。
「それがね………」
これだけは口が裂けても言えない。
俺は大体の、いや全ての剣戟がゆっくりと見える。なので、どこに剣が来るのかが事前に分かっている。それに俺の身体自体が異常なのだ。
水が地面に落ちると同時に5メートルぐらいの所までは瞬時に移動ができる。
正しく神速。剣戟も神速。
それで、国中の人から俺は剣聖と呼ばれている。
「クソ! 魔族の王ですら人間に勝てないのか」
そう言って泣きそうな表情で剣を振りかざして来る。そんな顔されても剣を受け止める事しないと俺が死んじゃうので聖剣で綺麗に受けて止める。
「ま、まぁ。一応、魔王のあんたの剣戟は誰よりも早く見えてるから」
立派な角を生やしているタキシード姿の男に話す。何故かは知らないが、魔王の関係者はみんなタキシードだ。
今は城の中にいるが、潜入する時にはアレ? 貴族の方ですか? と間違えてしまった。
「人間には負けるか!」
雄叫びを上げるように叫ぶと、魔王は剣に力を溜めていた。
何をして来るのかなと楽しみに剣を構えて待っていた。
「魔剣グラムよ! あの者を闇へと葬れ!」
カッコよく決め台詞を言いながら剣から漆黒の斬撃を放ってきた。
魔王と6メートルぐらい離れているのにその斬撃は俺に届くまでに1秒ともかからなかった。
「……………っぅ!」
俺の目に斬撃はゆっくりと時間をかけて見えていたので普通に聖剣で受け止める。聖剣は壊れる事なく闇の斬撃を防いだ。周りを見ると俺がいる場所以外は禍々しい黒いオーラを放っていた。
「じゃあ、ごめんけど死んでね?」
斬撃を放って息を切らしている魔王に向かって瞬時に移動して剣を振りがざす。
「えっ?」
驚いた表情を浮かべながら魔王は俺の剣を防ぐと、魔王を中心に光の衝撃が剣から放たれていた。それを当たった魔王の身体から黒い煙が上がり、発狂していた。
「我は死ぬのか………」
ゆっくりと囁き。魔王は握っていた剣を地面に落とした。
キシャンと音が鳴り、その剣は黒い輝きを放ちながら消滅した。
「終わったな」
聖剣を鞘にしまうと同時に魔王の身体は神々しい光を放って。どんどん身体がキラキラとした輝きになり消えていく。この時この世界の平和は約束された。
「よし! 国に帰るか」
俺は魔王の王室を出ようとした時、ソレは現れた。
「待ちなさい!」
少し高めの女性の声が背後から聞こえた。慌てて背後を見るとそこには純白のドレスに身を包む金色の髪を優雅になびかせている女性が立っていた。
「………………」
俺は何も喋れなかった。
何を言えばいいのか分からない事もあるが、それ以上に彼女の美貌に見惚れていた。
透き通る白い肌。純白のドレスと合間さって余計に美しさを醸し出している。それとシュッとした顔立ち。蒼く輝く瞳。俺よりも遥かに高い身長。
……………………あ、アレ? 段々彼女が近づくにつれて身長が小さくなってるんだけど!?
「初めまして剣聖様」
礼儀正しい口調で話して来る。しかし、身長はさっきよりだいぶ小さくなっていた。巷で話題になっていた幼女体型いや、ロリ体型!
「何でここにいるんですか!? ロリっ子!」
「えっロリっ子!?」
驚いた表情をして小さく口を開けてそれを手で押さえていた。
「いや、すいません」
正しく俺の国に伝わる礼儀の挨拶をする。腰を低くして、手は後ろに組み。右足だけを前に出し、後ろを足は後ろに出してお辞儀をした。
彼女は少し顔を赤く染めながら話してきた。
「そんなにロリっ子に見えます?」
「はい!」
躊躇なくまっすぐな声で答えた。
彼女は顔は可愛いんだが。やはりロリっ子、ロリ体型。巷の物語で出てきた合法ロリという奴だ。
「うぅ………私はロリ。私はロリ体型。私はロリコンに好かれる。私は……………胸が小さい」
何かに呪われた様に、ロリロリと神に慈悲を頼む様に喋っていた。
「そ、それより! 貴方は誰なんですか」
流石に彼女の事が怖くなったので質問する。
「私はロリの女神! あ、間違えた。私は異世界の女神です!」
少しわざとらしかったが。彼女は異世界の女神らしい。
…………はぁ? ちょと待て。異世界の女神とか言ったの? あのロリス。
俺が驚いた表情を隠しきれずに顔に出てしまい。それを見たロリ女神と自称している彼女がニヤニヤと微笑み出していた。
「信じてませんね? では、ほいっと」
指を真上にあげてパチっと音を鳴らすと俺はいつの間にか、王都アヴァロンの上空に立っていた。
俺は落ちると思い頭を抱えて小さく丸くなった。
「ぷふふふ! 何ですからそれ〜 言っときますが落ちませんからね」
ケタケタと笑いながらそう言ってきか。
ロリ体型なだけに余計に怒りが湧いてくる。聖剣で殴ってやろうかと思ったがそれをやるとヤバそうなのでさすがにやめた。
「それでこれは何ですか!」
真下にあるアヴァロンを指差す。
「勿論、貴方の住んでいたアヴァロンですよ?」
「マジですか?」
「マジです」
真剣な表情をして女神は言ってきた。
これを見たらもう女神だと認めるしかないだろう。
「それで、女神様が俺に何の用ですか? 魔王を殺したのは流石にダメでしたか?」
首を傾げなら質問する。
「いえ。貴方が魔王を倒したおかげでこの世界は平和になりました。本当はここに送った日本人がやるはずでしたが………」
俺は疑問に思った単語があったので又しても首を傾げた。日本人とは何なんだろう? どっかの人なのは分かるが。
女神は手をパンッと叩いて話してきた。
「ソレは置いといて。貴方には簡単に言います」
「何ですか?」
ゆっくりと女神は深呼吸をして話した。
「貴方には異世界に行ってもらいます」
「………………はい?」
最近、耳が遠くなってるのかな?
喋っている言葉が理解できない事が多いんだけど気のせいかな。
俺がポカンとしていると。女神が耳元まで来て叫んだ。
「貴方は! 異世界に! 行ってもらいます!」
「五月蝿いよ! このロリめ! 何が異世界に行ってもらいますよだ…………え? 異世界?」
「そうです。異世界です」
平然とした顔で女神は言っていた。
ちょっと待て。この女神は今、異世界に行ってもらうと言ったな? 行きたい気持ちもあるが、俺はもう疲れたんだ。毎日、剣聖たがら強い魔族と戦わさせられて。騎士団に入っているからいくら働いても給料は同じだし。いい性格の女性は現れずにクソ女ばっかりにモテるし。
一軒家を買ってゆっくりと森で静かに暮らしたい。
「行ってくれますか?」
上目遣いで女神は聞いてくる。
顔は可愛いのでドキッとしてしまった自分が許せない。相手はロリなのに不甲斐ない。
「無理です」
俺の答えは勿論NOだ。異世界なんて面倒くさいにきまってる。
「お願いです! 異世界に行ってください!」
「無理です!」
何度も聞いて来て俺の服を引っ張る女神の手を跳ね除ける。
「それならこうしましょう。貴方が異世界で頼んだ事をしてくれれば願いを叶えてあげましょう」
「えっ? 本当に!?」
「何でもいいですよ? 美女に囲まれたいとか。豊かな胸にダイブしたいとか。ロリっ子を嫁にしたいとか………その他諸々」
「おい! 何だその例え。これだとまるで俺が性欲に塗れたクズに見えるじゃないか!?」
俺はそんなに性欲に満ちてないよ!
ちゃんとした結婚を望んでいるんだよ! そう心の中で叫んでいた。
「えっ? 他に何かあるんですか?」
そう言って疑問も抱かず首を傾げてくる。
とんだクソ女だなこの女神。
「俺は普通に山で静かに暮らしたいんだ! 本当に異世界で何かをすれば叶えてくれるんだろう?」
「勿論です! では、この条件でいいですか?」
「あぁ!」
迷わず俺は断言する。
「なら、説明します。異世界について」
そう言ってどこからか出した椅子に座った。女神の身長が低いので、凄く変に見えて笑いを堪えるのに必死だった。
女神によると。その世界は魔法の世界だと。それでこの世界より技術も進化していて、戦い方も違うとのこと。それで俺にはその世界の闇、知恵の魔神という奴を倒して来いと言っている。
「これであってるよな?」
「はい、大体は」
そう言って女神は椅子から飛び降りて、俺の近くに
歩いて来た。
「それと、向こうの世界では貴方は赤ん坊からのスタートです」
「えっ? 聞いてないんだけど?」
そんな話は聞いて無く、俺は嫌そうに女神を睨んだ。
だってもう25年も生きてきてるのに。今からいたからやり直せってどんな地獄だよ。
「まぁ、大丈夫ですから! 記憶は引き継がれますし。聖剣も一緒なんで」
俺の表情を伺ったのか、慌てて手をブンブン振って話してくる。
聖剣も一緒なら最初からでも楽にできる。
「それならいいぞ」
それを聞くと女神は嬉しそうに微笑み出した。
「貴方に転生の資格を与えます」
女神は俺に向かって指を向けてパチッと音を鳴らした。その主観に急激に意識が飛びそうになる。
「後、16歳になったら学校に行ってくださいね?」
それが聞こえた時には俺は耐えれなくなり、眠りに落ちた。
初めましてバナナアザラシです。
練習の為の投稿なので更新は中々しませんがよろしくお願いします。