第一話
ついにやっちまいました。拙い文章で恐縮ですが、生暖かい目で見守ってやって下さい。
私はいま、空を飛んでいる。
なぜ空を飛んでいるのか?それは分からない。なにせ、さっきまで友人の星野秋菜と一緒に登校していたらいきなり光に包まれて、光が消えたと思ったらはるか上空にいたのだ。
わけが分からない。しかし、たったひとつだけわかることがある。
人は飛べない。
私の背中には翼など生えていないし、ファンタジーであるような魔法も使えない。手足をバタバタさせて空中を移動できるのは漫画だけだ。
故に、初めの発言は訂正させてほしい。
私は空を飛んでいるのではない。ただ落ちているだけだ。
「・・・ふむ」
私は腕組みをしながら思考する。風圧で髪が乱れたり制服のスカートがめくれて大変なことになっているが、一切気にならない。
「・・・これは、助かりませんね」
なんとも的はずれなことを考えていると自分でも思う。こんな状況ならキャー!なりワー!なり叫んで暴れるのが普通だろう。しかし、この時の私は酷く冷静だった。なぜだろうか?恐怖を振り切って逆に冷静になったとか?
まぁ、そんなことはどうでもいい。
なぜこうなったのかは分からないが、どう足掻いたところでもう助からないだろう。なら、せめてその瞬間を見ないように目をつむろうか。
・・・そういえば、私と一緒に光にのまれたはずの秋菜は何処にいったのだろう?ここまでやたらと冷静に自分のおかれた状況を確認していて探す余裕がなかった。できれば無事でいてほしいのだけど。
そんな私の祈りはあっという間に否定されてしまった。
自由落下を続ける私が秋菜の姿を探そうと周囲を見渡すと、すぐとなりに彼女がいたのだ。白目をむいて、涙と鼻水とよだれをたらしながら。
「酷い顔ですね。顔から出る液体全部出てませんか?」
「・・・」
反応はない。見た感じ気絶しているので当たり前の話ではあるけど。
しかし困った。私一人でなら諦めていたけど、秋菜も一緒なら簡単に諦める訳にはいかない。私はもう覚悟はできているが、おそらく覚悟する間もなく気絶したであろう秋菜が気の毒だ。せめて秋菜だけは助けたい。
無駄な努力だろうと思いつつ、気絶している秋菜を抱きよせ、なんとか私の体が下になるように姿勢を変える。
「この高さです。落ちれば木っ端微塵でしょうが、秋菜、貴女はなんとか生き残ってくれると嬉しいです」
地面がそろそろ近くなってきた。残された時間はすう長くはないだろう。
目をつむり、秋菜をぎゅっと抱き締めてその時を待つ。
その時だ。私の耳に、力強い獣のような叫びが聞こえたのはあ
(なんですか?)
そう思ったのは一瞬のこと。つぎの瞬間には私は凄まじい衝撃に襲われ、呆気なく意識を失なった。
いかがでしたか?楽しんでくれたのならいいのですが。誤字脱字等があればご指摘下さい。
次回更新日は未定です。