ハルと少女の関係
謎の少女の正体が明らかに....!?
すみません。少女が不適切な事をハルに教えかけます。
静かな昼下がり。
座布団を二つ並べてその上に枕を置き横になると、ハルはタオルケットをかぶり横になった。 微睡みの中で、その子はそっと声をかけてくる。
『 ねぇ、ハル〜?』
『ねぇ?ねぇ?聞いてるの?』
夢の中へ飛び立とうとしてるさなか、声をかけるがハルの意識は沈んでいく一方だった。
少女はハルに触れられない。ましてや、他の人に目視される事も、認知される事もない存在で、幽霊のような霊的なものでもない。ただただ、不安定な存在でなのだ。声をかけ続けるしか術はなかった。
『ねぇーーってば!!
ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、 ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、 ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇっっ!!』
未だ微睡み意識がはっきりとしない中で、その子は苛立ちを募った。
『おいこら、聞けーーーーーっっっ!!』
「っ!?」
ハルの頭に直接大きな声が響く。頭がキーンと痛み、一気に目が覚めた。
突然のことで、頭の中を整理するために部屋の周りをキョロキョロと見回したが、お母さんがいて居間の中央に置いてある机の上にはカエルの絵がプリントされたプラスチックのコップが1つ置かれているだけであった。
そんなハルの様子に気づいたお母さんが、可笑しそうに尋ねた。
「あら、ハルちゃん?どうかしたの??急に飛び起きて、虫でもいたの?あはははは。」
「んーん。...もっかいねるー。」
ハルはからかわれる中で寝るのは難しいと思い、枕とタオルケットを持ち新しい寝床を探しに居間を出た。
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寝る邪魔が入らないように、いくつかある寝床候補の中から押入れを選んだ。某青狸が寝床にしているところをテレビで見てから好奇心で真似をしてみた所、障子の開け閉めで光の調節ができる上に、静かなので気に入っている。
『ハルったら、私にいじわるするのね。乙女の心をもて遊んであんまりだわ!!』
「んーっと、ごめんね?」
『誠意が篭ってないわ!!もう一回やり直しっ!!』
ハルは少し考え、
「リカおじょうさま、すみませんでした。」
少女《リカ》は顔を真っ赤にして叫んだ。
『あなた舐めてんの!?執事のマネなんて、どこで覚えてきたのよ!?テレビ?テレビなの!?テレビなんでしょ!?!?』
あまりの大音量にハルは耳鳴りがした。
「むー、ひつじはメーメーだよ」
『はぁああああ!?バッカじゃないの!?昼ドラでも見たの!?それともまた、通りすがりの主婦の会話から覚えたわけ!?!?ひつじじゃなくて執事よ、しーつーじー。お嬢様の下僕みたいなものよ!!』
「ちがうと思う。」
※執事は下僕なんかでは決してありません。 執事とは、上流家庭において、家事及び部下の使用人の指揮管理を担う役割を持つ役職です。
「それはおいといて、どうしたの?ねむいから、あそぶのはまた今度にしてほしいんだけど。」
『遊ばなくてもいいわ。暇だから話相手になりなさい。』
「へりくつだ。」
『心外ね。屁理屈なんて言ってないわよ。私だって、ハルみたいに暇じゃないのよ?可愛くなるために、髪を綺麗にしてトリートメントして、おしゃれに気をつけるのに忙しいんだから。あなたみたいにおさがりで満足なんて無理なのよ?寝てばかりだと腐るから起こしてあげた私の優しさに感謝しなさいよね。』
「それで、何をはなしたいの?」
『特にないわ。久しぶりに会いたかっただけよ。』
「なーんだ、そうなんだ。ねえねえ、ひさしぶりにいっしょにおひるねしようよ?それで、どんなゆめをみたか、おしえ合うの。いいでしょ?」
『私がハルより良い夢見るに決まってるじゃない!!でもいいわ。乗ってあげる。』
お互い、ふふふと笑い合い並んで眠りについた。優しく楽しい夢の中へ・・・。
謎の少女、もとい、リカちゃんでした。
彼女は、ハルのイマジナリーフレンドです。
簡単に言うと空想の友達の事で、子供の発達段階にみられるそうです。気になる方は調べてみてくださいね。
二人の関係は、なんだかんだで仲のいい友達関係を築いているようです。変な知識は周りの大人の会話から思い違いをした物であったり、リカちゃんに教えられた知識がベースです。そんなわけで、ハルはズレてます。