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無限英雄3  作者: okami
8/12

第8話『ヒロインズ』

 おなじみ地下秘密基地。

 ブレインのある司令室に入ると、円奈瞳と天舞彩子が教科書やノートを広げていた。


「うあっと」


 その二人を見て京介は少しあせる。


「へえ…こんなところがあるんだね」


 すぐ後ろから小手先まほが入ってくる。


「あー女の子つれてる!」


 瞳が指差しで言う。


「私というものが在りながら!」


 その横の彩子が無言でメガネをくいっとあげる。


「何、任意くんハーレム?」


 雰囲気を察した半笑いでまほが尋ねてくる。


「こんにちわー、三番目の女、小手先まほでーすなんて…あれ円奈さんじゃない」


 京介の腕を取ってふざけがちに言ったまほは瞳に気がつく。


「えっ、私の知り合い?」


「小手先まほ! 一年の時同じクラスになったじゃない!」


「えーあーうん?」


 瞳はどうも記憶にないようだ。


「…私って印象薄いのかしら」


 と、まほはため息をつく。


「でー? その小手先さんがなんでここにいるのかしら?」


 と彩子。


「あ、えーと」


 京介の手をとっていた事を思い出してあわてて離す。


「小手先も能力者だ。ついさっき謎の集団に襲われて…」


『ほう』


 突然ブレインがモニターに現れる。


『そんな一大事に通信もなかったようだが?』


「…暇がなかったんだよ」


 なんとなく不機嫌そうなブレインにばつが悪そうに答える。


『しかもまた秘密基地に人を入れて』


 秘密基地の意味知ってるのかと問いかけそうだ。


「悪かったよ…」


『まあよかろう。君たちと戦闘したものたちは警察に捕まったようだ、16名か』


 警察無線の傍受くらいはお手の物である。

 マナは20人ほど行動不能にさせたので、何とか逃げきった者もいるようである。

 16人捕まっていればそこからの追跡もはじまるであろう。


『襲われる身に覚えは? と聞くまでもないか』


 それはもう色々ある。


『ともあれ武装した普通の人間というのは気になるな』


「能力者ぽいやつも混じってたけどな」


 あまりに軽く倒してしまったので超能力なのか特殊装備なのかは不明だが。


『例の悪の組織の仕業とは考え難いな。今回、君が巻き込まれている事件がらみと考えるのが自然だろうね』


 京介もそう思う。

 正体を知った上での待ち伏せという感じがした。


「…てことは」


 他の超能力者も危ない。


「小手先、コスモと菱田に連絡を」


「う、うん」


 察したまほが携帯を取り出すと、ブレインがそれをとめた。


『その携帯は傍受されている危険がある』


 まほが呼び出した待ち合わせ場所で待ち伏せされていたのがその根拠だ。

 それにここは秘密基地。電波はジャミングしてあって携帯はつかえない。

 ブレインは菱田の電話番号から菱田の携帯位置を特定するとモニターに映した。


「…ここってうちの学校かしら」


 モニターの地図を見てまほが言った。


「よし、ちょっと行って来るか、ついでにサイキ達にも知らせてくる」


「私も行く」


 京介は頷くとまほと共に部屋を出て行った。


「…今回出番ないなあ、私」


 瞳はポツリとつぶやいて勉強の続きを始めた。




 京介とまほはフルメットで顔を隠すとバイクの二人乗りで学校に向かって飛ばした。


『しかし、小手先の魔法には驚かされたよ』


 メットに内蔵された通信機で風やエンジン音を気にせずクリアに会話が出来る。


『昨日、妖精界の使いが来て、18で魔法の力が消えるからアイテム返せって言うから返そうとしたら、ここに来て他の使い方を言ってさ』


 言わせたという方が正しいが。

 妖精界の使いミャチャがいた頃はアイドルになる事以外は必要なかったのだ。

 妖精界側にとってであるが。


『しかしお前…「戦いのプロ」ってのはどうなんだ』


『広い意味で言っとく方が限定されないから、意外な効力が働いてお得なんだって』


 前の場合はまほのイメージでの戦いのプロが軍人であったようだが、軍人になれ。という命令よりは勝手がききやすいらしい。


『便利な能力だったんだな』


『あと二日ちょっとで返さなきゃいけないけどね』


 知っていたらもっと有効に使っていたことであろう。

 間口の広さ的には京介の能力と似てなくもない。


 


 夏休みというのに学校は部活勢が精力的に活動している。

 バイクのまま裏手の方の道路から体育館の中を覗くと、アマレス部の菱田が後輩に指導していた。


『…こっちは問題ないみたいだな』


 京介が念を送ると、菱田がこちらに気付いた。


『わっ、今の何それ?』


『軽いテレパシーの応用。

 ちょっと才能のある普通の人間が訓練すれば使えるなら、俺でも使えるかなって、練習してたんだ』


 何せこちらは任意で五感まで強化できるのだ。

 ともあれコツを掴むのはなかなか骨ではあるが。


「任意くんと、小手先かい?」


 菱田が体育館から出てフェンスごしに話しかけてくる。


『ああ、実は…』


 先ほど襲われた事を告げる。


「わかった、コスモにも伝えておく」


『もし襲われたらすぐ連絡しろよ』


 そう言って小型通信機を投げて渡した。


『携帯は危険かもしれないから』


「うん、ありがとう」


 京介は無言で頷くと、バイクを発進させた。




 次にサイキたちと戦った廃ホテルに着く。

 外からでは気配は感じられない。

 中に入り全員で話をした一室のところまで来る。

 しんとしていて人の気配はない。


「…誰もいないこういう施設って不気味よね」


 まほがおそるおそるという感じで部屋内を見渡す。


「幽霊がいるかもしれないぞ」


 何せ京介はこのホテルで一度幽霊と交渉しているのだ。

 今も霊感を強化すれば見えるかもしれない。


「…やめてよね」


「話せる連中なのに」


 京介の交渉した幽霊は話のわかる相手であった。


「普段はサイキ君が寝るのに使うくらいなんじゃないかしら」


 そして見るからにアウトドアな感じのサイキであるから、ここに誰もいないのもそうおかしい事でもない。

 と話をしていると。まほの目の前に突然、伊道 遙の姿が現れた。


「うわっ!?」


 まほは驚いて尻餅をつく。


「あれ、あんたらか」


 遥は京介とまほの顔を見るとつぶやく。


「サイキが誰かが侵入したから見て来いって言われたんだけどね…何?」


 一呼吸で説明を済ませる遥。

 簡単なセンサー的なものが設置されているらしい。


「実は…かくかくしかじか」


「透明人間? んー…確かスクールに…いやでも」


 何か心当たりがあるようだ。


「…まあ私もサイキも襲われてないし…最初からアンタ狙いなんじゃね?」


 そんな気もしてきた。


「まぁ、吉岡がヘタうったって…」


 言葉の途中で遥は違和感を感じて制服のカッターシャツの胸のポケットから何か機械を取り出した。

 赤色のランプが点灯している。


「…誰かがこのホテルに侵入した」


「吉岡たちか?」


「違う、サイキと吉岡はセンサーの場所知ってる」


 わざわざセンサーに引っかかるような真似はしない。

 京介は意識を増幅させた。

 ホテル内に10人前後。ホテル周りに…


「…100はいるぞ! 囲まれて…つっ!?」


 不意に頭の中をノイズが襲った。精神がかき乱される。


「あつっ…意識攻撃されてる…っ」


 遥が頭を片手で抑えてつらそうに言う。


「い、意識…攻撃?」


「…テレパシー能力者の攻撃…ダメ、複数いる、跳ね…除けられな、い…」


 遥はその場に崩れ落ちる。


「ぐっ…!」


 京介は精神を強化して意識攻撃をシャットアウトさせる。


「小手先!」


 京介が見ると、小手先はすでに変身していた。

 何やらラメ入りの全身タイツのような服装だ。


「…何それ」


「エスパーのイメージ? みたいな?」


 ちょっと恥ずかしそうにエスパー・マナは微笑んだ。


「すぐに突入隊がこっちに来るわね…どうする?」


「こいつもほっとけないしな…」


 京介は倒れて苦しそうな遥を見下ろして言う。


「私が何とか安全なところまで運び出そうか?」


「そうだな、ついでに助けを呼んできてもらうか」


 超能力者の混じった100人相手はさすがに辛い。

 ジャミングか通信機も効かない。これではスーツの転送も無理だ。 


「…どうやらテレポーターも3人ほどいるみたい」


「わかるのか?」


「なってみてわかったけど、テレポートに使う共通の道みたいのがあるみたいね。それの軌跡でわかるみたい。」 


「一筋縄では逃げられもしないか」


「何とか振り切ってみるわよ」


 変身したマナは頼もしい。

 精神的な成熟まで追加されるようだ。

 魔法は馬鹿にならないなと京介は感じる。

 複数の足音が聞こえてくる。


「よし、できるだけ急いで頼むぜ!」


「うん!」

 

 二人は同時に動き出した。



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