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フライ・フィッシャーズ  作者: カカオ
アイ・アム・クリステル
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……わかんないっちゃ

「クリスタル姉、大人ってどうすりゃなれるの!」

 クノイチの声で、滝川は我に返った。

 ――いけねーいけねー。黒歴史を思い出しちまったわ。でも、結局大人ってなんだろう。福岡理論でいくと『覇気があって競争に打ち勝ってガンガン年収上げていく』という条件を満たせば大人、ということになりそうだ。

 ……納得いかねー。認めたくねー。

「……わかんないっちゃ」

 滝川は小さく呟いたが、クノイチは聞き逃さなかった。

「えっ!? だってクリスタル姉、大人なんだろ!?」

 ――痛いとこつくねークノイチ。

「たぶん」

「えーなんだよそれー、意味わかんねー」

「あたしだって意味わかんねーよ」

「なんだそりゃ」

「まあ、わかったら教えてやるぜい」

 クノイチは「むむむ」と円周率を覚えるのに苦戦する小学生みたいな顔をしている。あれ、今は円周率って3なんだっけか。わからん。ジェネレーションギャップをひしひしと感じる今日この頃。

「……約束だぞ」

 クノイチは滝川をじっと見て言った。――そんなにじっと見ないでおくれ。予防線張りづらいぜ。「女に二言はない」

 かっこええ言葉で締めてみる滝川だった。

「はぁ……」

「いっちょまえに溜息なんかついて、一億年早いぞ少年」

「クリスタル姉のせいだ」

「あたしのことはクリステルと呼びな」

「クリステル姉のせいだ」

「もう、しゃあないなー」

 滝川は時計をあげるか手帳をあげるかで一瞬迷ったが、時計のほうが高く売れそうな気がしたので、手帳をあげることにした。

「クノイチ、お前にこれを授けよう」

「お? ……こ、これは!?」

「ふふふ、驚いたか」

「これ、何?」

「……」

 手帳は大人のアイテムだと説明すると、クノイチは飛ぶようにして喜んだ。

 その後、駄菓子屋でクノイチにアイスを奢ったりくじ引きで本気の一喜一憂をして、滝川は宿に戻った。古道具屋に行き忘れたことに気付いたのは、自分の部屋で鏡を見ているときだった。

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