キンキュージタイ?
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――いやっほーい! 手帳復活だー! 昼ごはんは寿司だー(クリスタル姉の財布には死んでもらおー)。
クノイチは滝川の自転車の荷台にまたがり、喜びを足をじたばたさせることで表現する。赤い彗星号はよろよろと蛇行する。
「ぎょわっ、こらクノイチ揺らすんじゃねーっ」
「ほほーい」
生返事を返球し、クノイチは滝川の腰に手を回した状態で顔を少し横にずらして前を見やる。国道はまだずっと先まで続いていて、まるで砂漠を見ているかのように終わりが見えない。アスファルトの地面から陽炎がゆらめいて風景を歪ませている。
歪んでいるといえば、大人は色々なことを歪ませているようなぁとクノイチは思う。――新ニーチャンの部屋の秘密とかさー、なんなんだろースゲー気になるぜ。ベッドの下だっけ? 今度こっそり調べてみっかな。
こうやって少年は大人になって、いく、と思う。
――なーんか大人って秘密主義だよなー、子供に。むーん。
なんとなく大人に腹が立ったクノイチは、腹いせに滝川の腹を揉んでみる。
「きょわわっ! 何すんだ阿呆クノイチ!」
「揉み心地をチェックしてみたんだよ」
「冷静に返事してんじゃねー!」
「おっぱいぐらい良い揉み心地だったヨ!」
「褒められてねー!」
そんな感じで時折蛇行を繰り返す赤い彗星号。
クノイチは復活を遂げる予定の手帳に思いを馳せる。――手帳って予定とか書くんだったよな。だったらおれも予定を書こう。うんうん。とりあえず積みゲーのプレイスケジュールでも……げげっ。
クノイチは前方に見たくないアフロ頭が二つうごめいているのを視認する。まだ距離はあるのに、鉄平と銅平のアフロ頭であるということがすぐにわかってしまうほどに、アフロの双子は目立っている。滝川もアフロ兄弟に気付いたのか「おいおい見なよクノイチ、肉団子みたいなのがひょこひょこ動いてるよー」と笑っている。
でも近づいていくにつれ、アフロ兄弟以外にも二人いることがわかった。一人はお巡りさん、もう一人は……――春日井ちゃん?
春日井は警察の人に腕をつかまれ、何か怒鳴っている様子だ。――キンキュージタイ? おお?




