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フライ・フィッシャーズ  作者: カカオ
恋のぼり
52/69

あと十一時間

 ――四時かぁ。

 ちなみに午前四時である。六月二十六日、日曜日。

 新は一睡もせぬままベッドから這い出る。大きな亀の甲羅でも背負っているかのように体が重い。不健康を知らせる体の軋み音が聞こえるような気がする。幻聴であってくれと願う。

 もう一度時計を見る。

 机の上の目覚まし時計。小学校の時から、東京にいるときから、つまり両親が生きているときから使っているそれは、秒針をせっせと動かし、確実に時を前へ前へと進めている。

 午前四時二分。

 ――うーわー。どうすんだよーぼくはー。

 第三者になりたくて自分から距離を取ろうと試みるも、自分はやはりどこまで行っても自分らしい。新は自分で自分に投げかけた疑問に苦悶する。

 眠ることを諦め、ジーンズとTシャツに着替え、窓をそうっと開けて外の景色を眺めてみる。

 水平線の向こうに日が昇り始め、地球が『おはようっす』と言っているようだ。打ち寄せる波、空、砂浜、見える光景全てがオレンジ色に染まって、時計を見なければ夕方と錯覚してしまうかもしれない。

 新はオレンジ色の世界に引かれるように、外に出て行く。

 ――あ、朝ごはんは……まあ、いいや。僕がいなくても困らないみたいだし。

 今日子が指定した午後三時まで、あと十一時間。

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