だが、フラれてばかりだった
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最近、学校でコイバナというのが流行ってる。恋のお話、らしい。――恋バナ? って書くのかなぁ。
とにかくそのコイバナとやらは男子と女子の枠を超えてクラス内でひそひそと囁かれているのだ。
○○くんは**ちゃんのことが好き。××くんは△△さんのことが好き。¥¥くんは$$くんのことが好き(一応可能性はあるやもしれぬので入れてみた)――というのとはまたちょっと違う。なんというか、もっと深いのだ。エッチなのだ。
クノイチにとって学校は第二の遊び場みたいなものだ。勉強は面倒だが遊びは良い。仲の良い友達もいる。嫌なやつもいるけど。例えばアフロ兄弟の鉄平と銅平とか。例えばというか、その二人しかいないけど。
アフロ兄弟こと鉄平と銅平は、双子の兄弟だ。そのあだ名が指すとおり、アフロ兄弟の頭はアフロ頭、のように見える。実は癖毛だ。でもぐりんぐりんにカールしていて、しかも質感が若干チリチリしているところが実にアフロ的で、初対面だろうと癖毛という真実を知っている彼らの母親でさえも『アフロだーねー』という感想しか抱かない。
そのアフロ兄弟がナンパに成功したのは、もうかれこれ二ヶ月前のことだ。女子中学生のナンパに成功したのだ。
アフロ兄弟はかなり大人っぽく見える。背も高い。中学一年生となら渡り合えるぐらいに大人だ。彼らのナンパの成功は男子の中では話題どころか伝説にさえなりつつあった。そしていつのまにか『ナンパの成功=大人への階段』というわけのわからぬ図式までが当たり前になってしまった。ここ最近のコイバナのエッチ化の原因はここにあると見てまず間違いない。
クノイチは背が低い。子供っぽい。アフロ兄弟にことあるごとにバカにされていたが、ここにきてナンパ成功を収め増長している彼らに、ガキだガキだとさらにバカにされているクノイチだった。クノイチは自分も大人になるべくナンパに挑戦することを決意、付近の女子に声をかけるようになった。
だが、フラれてばかりだった。




