アイスクリーム
一つ前に投稿した『パフェくん』の原型になります。
なのでタイトルを『アイスクリーム』にしました。深い意味はないです。
何をやっても上手くいかない。
今もバイト先の店長に怒られている。
どうやら、アイスコーヒーを頼んだのにホットコーヒーが来たらしい。
15番テーブルの老夫婦。オーダーを取ったのは間違いなく僕だ。オーダーが印字された紙にホットコーヒーと記されているので、作り間違えでもない。
どう考えても僕のミスである。
あるとするなら、老夫婦が言い間違えた可能性もあるが、僕の信頼度はないに等しい。数日前にお皿を落として割って、数週間前は釣り銭の渡し間違いをした。
幸い老夫婦は怒っていない。ホットコーヒーをアイスコーヒーにするのは簡単で、ホットコーヒーを捨ててアイスコーヒーを作ればいいだけ、さほど時間はかからない。
問題は店長が怒っていることである。
もしも僕が店長の立場だったら、同じように怒るだろう。だから納得も反省もしている。
だけど、起きてしまったことはどうにもできない。覆水盆に返らず。反省はしている。
世の中は理不尽だ。
僕以外の人間が店長に怒られているところを見たことがない。店長が差別しているわけではなく、僕以外の人間はミスをしないのだ。
専業主婦、フリーター、大学生、僕と同じ高校生、みんな完璧に仕事をこなしている。
僕がおかしいのだ。
ふざけているわけではない。手を抜いているわけでもない。何かに気を取られているわけでもない。真剣に真面目に働いているのに、ミスが起きる。
僕だけなんだ。
学校でもテストは99点や95点を取る。みんなは100点なのに僕だけがミスをする。
毎回先生に呼び出しをされる。なぜお前はミスをするのか、そんなことを聞かれても分からない。
真剣に真面目に授業を受けて復習をして、テスト中も見直しをしたりしているのに、100点を取れるわけではない1つや2つ、分からない問題があったり計算ミスをしたりする。
先生が怒るのも無理はない。他の人が出来ているのに、僕だけが出来ていないので、先生に問題があるのではないかと疑われているらしい。
そして先生は、先生を貶めるためにわざと間違えてるんじゃないかと、僕を疑っている。
そんなことは断じてない。
「違います」
僕が真っ直ぐ目を見て答えると、先生は納得してくれた。次は必ず100点を取れるように頑張ろう。
どうして僕だけがミスをするのか。他の人間が完璧すぎるのではないだろうか。
廊下を歩いていると。後ろから来た人にぶつかった。すいませんと僕が謝ると、相手はちゃんと歩いてくださいと言って、去っていく。気分が落ちて、歩く速度も落ちていたのかもしれない。
教室に戻ると、隣の席の女子が僕を見ている。
「また怒られたの?」
彼女はバイト先も一緒だから、常に僕が怒られていると思っているのだ。間違いではないけど。
「そうだね」
「なんで怒られたの?」
「この前のテスト100点じゃなかったんだ」
「どうして?」
「計算ミスをしたんだ」
「なんで?」
ミスをすることに、なぜとか理由があるだろうか。
「うっかりしてたのかな?」
「なんで?」
なんでってなんだよ。僕が答えられずにいると、
「あぁ、君はまだ人間なの?」
と彼女は訳のわからないことを言う。
僕は周囲を見渡して、彼らの右耳に印がついていることに今更ながら気づいた。彼らは人間ではないのか。
「そうだね」
彼女は顔を綻ばせる。
「じゃ頑張ろうね」
頑張ってね、ではなく、頑張ろうね、なのは、彼女の右耳も僕と同じで印がついていないからである。
読んでいただき、ありがとうございました!
男男にすると、ボーイズラブになってしまったので、男女にしました。初めからこうすればよかったです。でも男男で書いたことにより違うのもが誕生して、具体的に説明すると、人間ではないというオチにするつもりで書いた話が、人間らしさを垣間見るで終わったんです。
面白くないですか?!
と思ったんですけど、今回も書きたいオチとはちょっと違ってしまいました。強引に書くことはできるけど、なんか違う気がするので、また今度、機会があったら書きます。




