転生失敗
僕は異世界に転生することになった。
女神にそう告げられたのだ。
だが、目を覚ました場所はどう見ても日本。しかも、元いた場所とまったく同じだった。
さらにおかしなことに、確かに一度死んだはずなのに、その事実はなかったことになっている。
もう一度女神に会いたいが、自分から会いに行くことはできないらしい。
ならば普通に生活すればいい――そう思うかもしれない。
だが、僕には「特別な力」が備わっていた。
それは、満員電車を幸せにする力だった。
僕は毎朝、満員電車に乗っている。
あれは、それはそれは精神に大きな負担をかけるものではないだろうか。
しかし、電車に乗らなければ職場には行けない。
そこで僕が授かった力が役に立つ。
それは、0歳から30歳までの女性だけの世界に変え、
さらに自分のことを「特別な男性」だと、すべての女性に認識させる力だった。
女性たちの香水のいい香り。
胸と尻が僕の身体に当たる。
なんて、最高な能力なんだろう!
ハーレムである。サイコー!
そう思い、つり革につかまっていると――
僕は魔物に食われていた。
実は僕、異世界に転生していたらしい。
しかし、転生した瞬間に魔物に幻覚を見せられていたようだ。
僕はそのまま眠ってしまい、夢を見た。
それが、さっきの内容だ。
ああ……なんてサイコーな夢だったのだろう。
僕は魔物に食われながら、そう思って死んだ。
次の世界では成功してみせる!!
しかし、転生は起きなかった。
無。




