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#01:外灯と白い息

 長く歩いたせいで、目がすっかり夜に馴染み、外灯の白さが目に染みた。

「これで最後だね」

 嫣然と笑う鈴を見て、夏彦は息を呑んだ。

 見慣れた笑顔なのに、妙に脆く見えたのは、鼻をこする指先がわずかに震えていたからかもしれない。

 この心細さを感じているのは自分だけではない。震えが、本当は凍るような外気のせいだったとしても、それすら夏彦にはどうでも良かった。

「じゃあ、またいつかね」

 背を向けた鈴に、反射的に手が伸びる。衝動のままに袖を掴もうとして、半ばで止まった。

 呼び止めようとした夏彦の口からは、白い息しか吐かれなかった。

 少しずつ離れていく鈴の姿が、外灯の下を通る度に現れて、また暗闇に溶けた。数えきれないほど繰り返し、視界が滲んで前が見えなくなった頃、夏彦はもう鈴がどこに行ってしまったのか分からなくなっていた。

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