性的なネット広告に対してゾーニングしてほしいという声に対して思ったこと
性的なネット広告に対してゾーニングしてほしいという声があるようです。
子供も見るページに性的な広告が表示されているということで、皆さん「関係ないサイトを見ているときに性的な広告は不快」「子供も見るのだから規制するべきだ」などという声が上がっています。
そうした声を見ると毎回思うのが以下の3点です。
・その広告は性的カテゴリではなくて、ゲームや漫画などのカテゴリの広告
・大半の広告が不快なものになりがちなのは当たり前
・広告の出なくなる有料サービスを使わないのはなぜ?
・その広告は性的カテゴリではなくて、ゲームや漫画などのカテゴリの広告
いや、当たり前ではあるのですが、すでにいま実行できるようなゾーニングって実はそこら辺のサイトではされているんですよ。
実際にエロ動画などのサイトを見てみると、それはもう性的カテゴリの遠慮のない広告が大量に出ています。
子供が見る動画などに性的なサービスの広告がと言いますが、一般的な動画サービスなどを提供している大規模なサービスで流れるのは、ただのゲームや漫画のキャラクターが露出が多少多いとかそんなレベルだったりします。
そこを「でも私が見て不快だから」と規制しようとすると、人間のどこからどこまでが性的で、どこから性的であってどこまでが性的ではないのか、そしてどこからどこまでが何歳の人間が見ても構わないのかという哲学的な問いに答えを出すっていう話になります。
玉虫色のなんとも言えないところに、きっちり線引きを引こうとするのですから、それはもう困難が予想されます。
そして一度線引きを作って規制したとしても、次から次へとこれも不快だ、あれも不快だとなるでしょう。
性的なものを完全に隠そうとしても、そもそも人間自体が性から切って離せないものだよねという事実に目を向けるべきではないでしょうか。
・大半の広告が不快なものになりがちなのは当たり前
ターゲッティング広告が当たり前な中、広告が不快なものになりやすいという事実を忘れていませんでしょうか?
広告は「不特定多数の人々に広く世間に知らせる」ものです。
いくらターゲッティング広告の技術が発展したからといって、その大前提は変わりません。
なぜならその広告に対して「興味がある層」にも当然広告はされるのですが、「今は興味がない層」にだって広告しないといけないからです。
そしてこの広告というのは人が目的をもって見ているものに対して「割って入ってくる」のです。
目的の動画を見ている最中に中断されて広告を流されるのは当たり前のことながら不快なのですが、なぜその不快な行為がされているかというと、不快に感じる層がいる中、それに興味を持って手に取ってくれる人もいるからです。
それは不快に感じる人が出るよりも効果が高いから今も続いています。
大体、ゾーニングを徹底したいなら「広告する側の企業」にネット接続時に個人情報をすべて提示する必要があるんじゃないかと思います。
当たり前ですが、広告している側は相手が何歳で性別は何か、子供はいるかなどという情報を、今まで見てきたサイトの履歴や、自分のサイトに来る人の推測でしか知りません。
ゾーニングを徹底しろというならまず「自分たちは何者であるか」をはっきり提示しておく必要があります。
それができないログインなどもしていない、個人情報の一部すら渡してもいないサイト側に「私が誰だかは教えないが何とかしてゾーニングしろ」というのはあまりにも無茶ぶりではないでしょうか?
・広告の出なくなる有料サービスを使わないのはなぜ?
そして一番気になるのは広告を視聴しなくて済むプランなどが動画視聴サービスなどの大手には多いのに使っていない人が文句を言っているところです。
そもそもが広告が表示されている大抵の理由は、本来そのサービスを受ける際に必要な対価を支払っていないからです。
サイト運営側も慈善事業ではないので、当然対価を要求してきます。
対価をお金で支払わない以上、広告などを見る時間を要求してくるのはある意味自然な流れです。
そしてその中に不快な広告があるのは先に述べた通り当然です。
「自分の大切な子供が自分の好みではない広告を見てしまう!」などと叫んでいる人に「その大切な子供が使うサイトにすらお金をかけないのはなんで?」と言いたいです。




