命令
この作品はフィクションです。現実の人物や団体とは関係ありません。
東アジアに位置する発展途上国 北夜鮮。この国に法なんてものはなく。あるのは銀一族の絶対支配のみ。銀一族は絶対であり、背くことは絶望を意味する、死ほど生易しいものでは無い。
首都 太壌 銀一族、もとい政府の元で働く工作員が数多多数集い各国へ密航していく大元の場所。
俺は、ウキウキ。銀様から与えられた4文字もある名前。
この国では贅沢すぎるほどの待遇だ。
その待遇には理由がある。それは,俺が有能なことだ。
この前も任務で密航した時は人質を3人も連れてきた。
今回は光栄なことに銀様から直接呼び出しをされた。
またとないご厚意だ。銀様の部屋に俺の銅像が置かれるという夢へ1歩近づいたかもしれない
銀様が住まわれる屋敷は太壌の中心に位置している。屋敷の周りは川で囲われており、川沿い50M毎に監視室なるものが置かれ、警備員が24時間体制で見張をしている。
可動式の橋があるが、それは銀一族の方々専用だ。
それ以外のものが屋敷に入るには地下トンネルを通るしかないが、
名前の無い者がトンネルを通ろうもんなら、5回の受付と2回の持ち物検査が必要になってくる。
俺くらいになると受付も持ち物検査もいらずに屋敷に行くことができる。
それも専用ラウンジから”エスカレーター”でだ
エスカレーターは屋敷のメインロビーまで繋がっていて、5分もかからずに着く。
銀様がいらっしゃるお部屋に行くには、エレベーターを使えばいい。
それも銀様がいらっしゃるお部屋にしか行かない金色に塗装されたエレベーターだ。
金色に塗装されたエレベーターの前にスーツの大柄の男が立っていた。
男がウキウキの顔を見るや、慣れた手つきでカードキーをキーパッドにかざし、エレベーターが音もなく静かに開いた。
開いたエレベーターは先程とは別物かと疑うほどの迫力を放っている
ゴクリ ー 。
ウキウキの喉音が鳴る
「銀様がお待ちです。どうぞお乗り下さい。」
大柄の男が表情を崩さずにそう言った。
「失礼」
咄嗟に出た言葉と同時にウキウキはエレベーターに乗った。
エレベーターの扉が音もなく閉まり上がっていく。
上の方に付いているモニターの数字が凄い早さで上がっていく。
そしてその数字は69になったところで止まった。
エレベーターの扉が開きその先には自分の身長の2倍にもなる扉があった。
コンコン ー 。
扉の先からは返事がなく、3秒程の沈黙があった
(よしっ….入っていいんだよな?)
「失礼致します」