↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】欲張り転生★ダンジョン最下層へ落とされた悪役令嬢は、喋る剣と配信しながら地上を目指します  作者: 猫鈴うみゃ
第四章 私とカグラ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/53

no48...最終決戦

「さぁ! その絆とやらの強さを証明してみせよ!」


 ギギギギギ!と激しい音を立てて、魔剣カグラと神剣カグラの刃がぶつかり合う。


 リナティスの固有スキル《万物分断》 それは物理的だけではなく、概念すらも分けてしまう最強のスキル。そのスキルにより千年前、魔剣カグラの中に輝き始めていたマサラとの絆は分断された。 でも、私は負けない。


『涼音! 気をしっかり持て!』


「うん!」


 絆など何の意味も無い。ただの幻想。そう言い切るリナティスをカグラは真っ向から否定した。私とカグラの絆がカグラを最強の剣にすると。カグラが私を信じてくれる限り。私もカグラを信じる。あんな奴には負けない! 紫の不気味なオーラを纏う魔剣カグラを、神剣カグラで押し返す。


「これが絆を壊す万物分断? 私とカグラの絆はこんなものじゃ壊せないわよ!」


『ほぉ、耐えるか。だが、妾らに勝てるか?』


 妾ら? その言葉に、ぞわっと悪寒を感じた。


 そしてすぐに、その理由を知る。


「そんな……!」


 魔剣カグラ・リナティスの背後から、もう一本の魔剣カグラが現れた。


「嘘でしょ?!」


『バカな! 魔剣カグラはこの世に一本しか存在せぬ! 二本などありえん!』


『感謝せねばならんな。其方らだぞ。妾をさらに強くしたのは』


 私たちが魔剣カグラを強くした?


 まさか――。急いで視線を地面に落とすと、見つけた。


 先ほどの打ち合いで切り飛ばした魔剣カグラの切先!


 その切先からブヨブヨと黒い液体が漏れると、さらにもう一本の魔剣カグラとなった。


「やっぱり、分裂?!」


『まさか……。取り込んだのか?!』


『そう。あの黒いスライム。奴の《分裂》スキルは、なんとも便利だ』


 ええぇ! ゾア・スライムのスキルを奪っていたの?!


 ズルすぎじゃない?!


 そうこうしてるうちに、あちこちに切り飛ばした魔剣カグラの破片から本体が再生され、ついに十本の魔剣カグラが私たちの前に現れた。


「待ってえええ! チートすぎ!」


『チッ、なんということだ……』


『さぁ妾にも切れぬ ”絆” とやらを見せてみよ!

 ――《万物分断》×10』


「嘘でしょ?!」


 怪しく紫に光る十本の魔剣カグラから放たれた十の《万物分断》。私は全力でカグラを握ると、それらを全てカグラで受けた。


 ガガガガ!と激しい衝撃に私の足は後退りする。


『涼音! 気をしっかり持て!』


「うぅ……なに、これ」


 十の万物分断を受け止めた瞬間。まるで心に穴が空いたような虚無感が私を襲った。


 大好きだったおばあちゃんが死んだ翌日の、誰もいない茶室を見た時の悲しさと似てる。いるはずの人が居ない感覚。


 それまで続いていた関係や会話、そういった目に見えない ”何か” が突然ブチっと音を立てて途切れる直前。


『オーホホホ! 分断されなさい!』


 さらに強い紫色の光を発する魔剣カグラ・リナティス達。彼女の万物分断を受け続けるだけで、カグラとの記憶、思い出、声、肌に残る感覚、全てが私から抜けていくようだ。


「カグラ……。なんか、怖いよ!」


『涼音! しっかりしろ! 我のことを心に強く持て!』


 カグラを握る手に力を込めるが、万物分断の力が強すぎる。リナティスが弱っているなんて思い違いも甚だしかったのだ。彼女は強い。


 全てのスキルを持ち、死ぬ事の無い最強の存在……。私が弱気になったからか、ピキピキと神剣カグラに小さな亀裂が入り始めた。まずいとは思っても、万物分断の効果で悲しい気持ちを止められない。


『涼音! しっかりしろ!』


 ごめん。カグラ……。ごめん。ベネッサ……。私の心が弱いばっかりに……。


――ズキ


「うっ!」


 また胸が痛む。今ならわかる。これは私がベネッサの身体から追い出されているんだ。


 魂を取り戻し記憶を取り戻したベネッサの中に、私の魂がいるのは不自然だ。本来ならいるべきではいない存在。ベネッサの身体から追い出されたら私はどうなるのだろうか。


 そのまま幽霊となってこの世を彷徨うのか、また転生が出来るのだろうか。それとも無が待っているのか。私の居場所なんて、この世界のどこにもなかったんだ。


「カグラ……。ずっと黙っててごめん。私はもうベネッサから出なきゃいけないんだ」


『何を言っている!?』


「本当だよ。もうこの身体にいられる時間は少ない。もしリナティスを倒しても、私には未来なんて無い……」


 さらに大きな亀裂がカグラに入った。その時だった。


『涼音! 我の事が好きだと言っただろ!』


「う、うぇ?! な、何よいきなり!」


『我も涼音。お前が好きだ。心から愛している』


「えええええええぇーー!」


 ハートが口から飛び出そうになった。相手が剣だろうがなんだろうが、なんでもいい!

 愛に形なんてないのだ!


「ほ、本当に?!」


『ああ、本当だ』


「うう――。人生二回目にして、死を前にしてやっと彼氏が出来たよぉ! 剣だけど」


『もし、お前がベネッサの身体から離れて魂だけになり、何年、何百年後に生まれ変わったとしても、我はいつまでもお前を待つ』


「うぅ、カグラぁ〜。記憶が無くなってても、私達の絆は絶対だよね?!」


『もちろんだ。だが、その前にリナティスを倒さねばダメだ。来世の世界がリナティスの支配する世界でいいのか?!』


「それはよくないね! 力で抑圧された世界なんて最悪だよ!」


『うむ。だから涼音よ。気をしっかり持て、お前なら大丈夫だ。我と共に行こう』


「うん。カグラ愛してるよ」


【神剣カグラ・マサラとの絆が一定数を超えました】

【スキル《神剣解放》が解放されました】


『バカな! 妾の《万物分断》が効かぬだと?!』


 リナティスの狼狽える声が聞こえる。もうあんな奴怖く無い。私にはカグラがいる。愛する人がいる。もうお前なんかの好きにはさせない。私とカグラの心は完全にひとつになった。


 『「 《 神剣解放 》 」』


 その瞬間。神剣カグラ・マサラから眩いほどの黄金の光が溢れた。


『なんだこの光は?!』


 光の中でカグラの形状が両刃の聖剣へと姿を変え、鍔には美しい羽が生えた。まさに神の力を宿したカグラは、とても神々しかった。


『そ、そんなはずは……。妾は認めぬ! 使い手など不要なゴミのはずなのに……! これが絆の力だとでもいうのか?!』


 魔剣カグラ・リナティスは、神剣カグラの光の奔流を浴びるだけでボロボロと刀身が崩壊していく。でも逆に、倒れていたカルナセシルやネルフィム様の傷は癒やされていく。


「リナティス。もう命乞いしても許してあげないから」


『ふざけるな、妾が命乞いだと? 妾こそが最強の剣! 集まれ妾達よ!《結合》」


 十本の魔剣カグラが集まると、一つの巨大な魔剣へと変貌した。


『妾は絶対の王! 絶対なのだ!』


「――カグラ。行くよ」


『ああ、これが我らの最後の一撃だ』


 私の身体とカグラは眩い光に包まれると、巨大魔剣カグラ・リナティスへと飛んだ。


『「 神技―― 冥 空 絶 炎 斬 」』


 世界が神聖な光に飲み込まれる中、魔剣カグラ・リナティスは静かに消滅した。


――配信累計時間:11時間51分

◆大切なお願い


この作品を読んでいただきありがとうございます。


執筆の励みとなりますので

『面白かったよ!』や『がんばれ』と思った方は


「いいね」や「ブックマーク」

最後に広告の下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎→★★★★★へ

お願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。