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【完結済】欲張り転生★ダンジョン最下層へ落とされた悪役令嬢は、喋る剣と配信しながら地上を目指します  作者: 猫鈴うみゃ
第二章 ベネッサ編

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no21...ネルフィム・ドラストリア

 私達はフェルトグランの領室から出ると、領塔から本殿への連絡通路を経由して舞踏会の会場へとやってきた。会場をざっと見渡した限り、既に何組かの領主候補生が来ている。


 そんな私達に最初に声をかけた男性がいた。


「これはこれは。第二領地のベネッサ様。ごきげんよう」


 私に声をかけたのは、第三領地オスティニアの領主候補生であるティナード様だ。癖の強い青い色の髪に、切れ目の黒い瞳を持ち、青と白の衣服から見える肌は浅黒く焼けている。


 第三領地のオスティニアは広くないが、そのほとんどが海に面している為、他領では取れないほどの海産物や貿易品が手に入り第三領地の地位にいる。しかし、領地内には荒くれ者も多く、それらを束ねるティナード様もあまり良い噂は聞かない。


「ごきげんよう。ティナード様。お久しぶりです」


「ククク。前回の顔面パイ事件をきっかけに、第一領地と第二領地の間で戦争でも始まるんじゃないかと、ヒヤヒヤしましたよ」


 わざとらしく声を大きめに喋るティナード様は、本当に性格が悪い。


「ティナード様。ご存知の通り、あの件はドラストリアより【不問通知】を頂きましたので、本件に関して私が口に出す権利はございません」


 通常、領地間で問題があった場合、争いにならぬ様に王や中央の騎士団が間に入る。ただ、顔面パイ事件は子供同士ということもあり、領主同士で決める事となった。


 こういった場合、被害領地は加害領地に対し、作物や技術の無償提供などを要求されるのだが、今回は一切を不問とする【不問通知】のみがドラストリアより送られてきた。これは一切を不問とすると代わりに、公の場で本件に関する発言を禁止すると言うものだ。


 お父様は「さすが大領地のメア(領主)・ドラストリアだな。我々から何も取らないことで第一領地の領主のとしての格を見せつけ、金では買えない品位や王からの信頼を手に入れるとは……」と唸っていた。


 うちの抱えている様々な商品の情報は、ドラストリアとしては喉から手が出るほど欲しかったはずだ。それらを望まず、誇りを手に入れた。メアとしての器は大きい。


「ククク。不問ね……。そもそも事の始まりはネルフィム様だという噂も聞きましたが? 本当の被害者は、ベネッサ様なのではありませんか?」


 ニヤリと嫌味な顔で笑うティナード様の顔が、私を舐めるかのように視線を這わせる。


――あれは、去年の領主会議の日。


 私は過度な嫌がらせを受けていた。


 踊り終えると、いつの間にかドレスにワインが溢れていたり。ドレスの一部が切られていた。でも、領主候補生の中に犯人がいるのは確実だったけど、誰の仕業かわからなかった。


 カトリーナに手伝ってもらい、領室に用意してあった替えのドレスに着替えたが、止まない嫌がらせにイラついていた時だった。


 ピシャッっと、背後から水を掛けられた瞬間。私は怒りに任せて近くのテーブルの上にあったパイを掴むと、振り向きざまに背後にいた人物……。ネルフィム様に顔面パイを決めてしまった。


 もちろん水が飛んできた方向にはネルフィム様しかいなかったので、迷わず顔面パイをお見舞いしたわけだけど。よくよく考えれば、ネルフィム様が犯人ではない可能性もある。


 仮に他領の者が魔法や魔道具を駆使していた場合、ネルフィム様は完全な被害者でしかない。それでも不問とするとメア・ドラストリアが決めたのだ。私が言えることは何もない――。


「あらゆる可能性を考慮して不問とした、メア・ドラストリアの判断を私は支持します」


「フーン。しかしですね……」


 ティナード様が何か言いかけた時だった。

 高笑いと共に、ネルフィム様が私達の間に割って入ってきた。


「オーホホホホ! 不問通知が下った話を口にするのは、違反ですわよ? ティナード様」


「これはこれは第一領地のネルフィム様。お久しぶりです」


「メア・ドラストリアの決めた決定に異議があるのなら……。正式にメア・オスティニアより申告をお願い致します」


 護衛を引き連れて現れたネルフィムを見て、ティナード様が一歩下がった。彼にとっては無意識の一歩だったが、それは敗北の一歩だったのだろう。


「……フンッ。行くぞ」


 認めたく無い小さな敗北だったが、引き際だと判断したティナード様は、身をひるがえしてその場を去った。


「ネルフィム様、ありがとうございます」


「ベネッサ様。よかったら一曲踊りませんか?」


「私と……ですか?」


「ええ、第一と第二の仲の良さを知らしめましょうよ」


「ふふ。それはおもしろいですね」 


 私は自然と差し伸べられたネルフィム様の手を取ると、音に合わせてダンスを踊った。

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