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no13...蜘蛛の恩恵

 いつものレベルアップ音声を聴きながら、白煙で覆われた天井から落ちてきた鍾乳石をカグラで斬り払うと、一緒に落ちてきたストリングタラテクトの魔核を砕いた。


「魔核ゲット!」


『それにしてもストリングタラテクトか やはり妙だな』


「さっきも言ってたけど、妙ってなにが?」


『モンスターが弱すぎる』


「え? 十分強いと思うけど……」


 白煙に覆われた天井から、パタパタと無傷の配信スライムが戻ってきた。ちょっと焦げてるけど、羽も破れてないし問題なさそう。だけど、何故かやたら天井スレスレを飛んでいる。


「なんでそんな離れてるのよ!」


『嫌われたな』


「あぅ。ごめんよー、あんまりしないからー」


『もうしないとは言わんのか』


 飼い主なのに完全にスライムから嫌われると、頭の中にコメントの声が流れてきた。


〉どうなったんだ?

〉配信スライムを投げて囮にして、その隙に?

〉さすが悪女だな

〉ベネッサの悪逆非道は今に始まったことじゃないだろ

〉ああ、ネルフィル様の毒殺未遂とかな

〉ありゃあ危なかったよな


 ネルフィル様の毒殺未遂? 誰? なんのことだろう。


――「ベネッサ様が! ネルフィム様を毒殺したわ!」


「……痛っ」


 記憶の奥を探ろうとしたら、軽い頭痛と共に男性の怒号が脳内に響いた。そのまま意識を記憶に向けると、脳内に記憶のワンシーンが流れ始めた。


――どこかの豪華な広間で、たくさんの貴族みたいな人がいる。誰もが私、いやこの身体の持ち主であるベネッサの事を見ている。


「取り押さえろ!」


 ごつい鎧の兵士に押さえつけられると、歳の若い青年が叫んでいる。


「貴様ら! ベネッサ様に何をする!」


「フェルトグランの者は全て捕えよ!」


「くそっ! ベネッサ様!」


 ベネッサの仲間なのかな? ベネッサの視線の先には、血に塗れた金髪の女性が倒れていて、その周りを何人かの貴族様が取り囲んでいる。――


 そこで記憶は途切れた。


 あの倒れていた女性がネルフィム様かな?

 毒殺されちゃってたけど未遂なら助かったのかな?

 っていうか、もしかしてベネッサって結構な悪女だった?!

 王子をたぶらかして王妃になるために、そんな事までしてたの?

 そりゃ死刑になるよねぇ。


『どうした』


「え? ああ、ごめん。昔の記憶が流れてきて……」


『記憶が戻ったのか?』


「うーん、断片的にだけどキーワードを拾うと記憶が少しづつ蘇ってくるみたい」


『ところで貴様 回復魔法は使えぬのか』


「回復魔法? うーん、それっぽいのはないけど……」


 ストリングタラテクトを倒して魔核も二つ破壊した。辺りに敵もいなそうだし、状態確認の意味も込めて《ちょっと鑑定》を使ってみた。


=======================

名 前:ベネッサ・ユーリーン

種 族:人間(テイマー★)  レベル:51

固 有:王家の血筋

スキル:ちょっと鑑定Lv2 モブテイムLv1 光魔法Lv2 配信魔法Lv2 超級神剣術 神剣献上 雷神魔法Lv1 煉獄魔法Lv1 蜘蛛糸Lv1 操糸Lv1

=======================


 二匹倒してどっちも糸のスキルかー。移動系のスキルが欲しかったなぁ。こればっかりはランダムだから仕方ないけど。


『回復魔法が無いのであれば タラテクト系の糸には僅かに回復効果がある 巻いておくと良い』


「え? そうなの?」


『無いよりは というレベルだがな』


 何事も鑑定はしておこう。もしかしたら新しい対象を鑑定する事で経験値が溜まってるかも知れないし。私は《ちょっと鑑定》で二つのスキルを鑑定した。


=======================

蜘蛛糸 〈アクティブスキル〉

 身体から蜘蛛糸を出す。レベルは長さと強度に比例する。また微量だか回復効果がある

=======================

操糸 〈アクティブスキル〉

 蜘蛛糸を操る専用スキル。レベルにより様々な糸を操れるようになる

=======================


「確かに書いてあるね。少しでも効果があるなら巻いておこうかな。じゃあさっそく」


 私はカグラを地面に置くとガニ股になり、右手をシュと左足に向けてスナップした。シュルシュルッと手のひらから出た白い糸は、私の左足にぶつかりべちゃっとくっついた。


〉糸を出したぞ! 蜘蛛女だったのか?!

〉たぶんタラテクトの糸スキルを奪ったんじゃないか?

〉奪うスキル? そんなスキル聞いたこともないぞ

〉雷、炎、糸と順に使っているからな

〉悪女にピッタリだな

〉しかしあのポーズは、ダサいな


『なんだその動きは』


「スパイダー男だよ。知らないの?」


『知らん』


 実は蜘蛛糸スキルは糸を生成するだけで、うまく巻けなかった。そこで役に立ったのが操糸スキルだ。レベルが低いからかストリングタラテクトみたいに遠隔で操ることは出来なかったけど、生成した糸を触ってもベトベトしなかった。


「これで良しっと」


 左足に巻き付けた糸の回復効果で血は止まり、火傷も少し痛むけど歩けないほどではない。


『地底湖はすぐそこだ』


「そうだった! 水! 喉乾いたー!」


『まだタラテクト種がいるかもしれん 油断せぬことだ』


「はーい」


――配信累計時間:3時間52分

ベネッサって悪役令嬢だったみたいだけど、あの青年の気迫を見る限り何か事情がありそうだね。その話はまた後で

―――――――――――――――――――――

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