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神の生きる街

 空を見れば天を貫かんばかりの摩天楼。

 魔石を燃料とした音うるさく走る高燃費な車。

 多くの会社の広告。

 魔法と科学により発展し、そこに住まう人々は幸せを娯楽を享受している。


 しかし、それは表向きの世界。

 この都市の地下奥深くで彼らは彼女ら【シンス】は血を涙を流し、悲痛な悲鳴を上げ戦い続けている。

 シンスと私達の違いは何か。

 それは魔法が使えるかどうかの違いだ。

 この世に魔法を使えるのはモンスターとシンス達だけ。


 ずっと昔、突如として現れたモンスター達は多くの人々を殺した。

 そして、時を同じくしてシンス達も現れた。

 私達先祖はシンス達も同じくモンスターと同一視し、今ではモンスター達からの自分達の身を守らせながら、魔石を採掘する家畜のような扱いをしている。


 どうして、このような社会が許されるのか?

 そんな疑問を嘲笑うかのように社会は世界は回り続けている。

 魔法と魔石というエネルギーの恩恵を得て。


 そして、今日もまた、魔石を欲しがる人々とその魔石を利用した技術を欲した人々への対応にこの国の人達は走り、シンス達の管理を任されたこの国【ユメリア共和国】の上層部の人間は既得権益を守るのに奔走していた。


 --ソラナ・ギフトの入管を許可--


 シンス管理棟。

 そこはシンス達の生活を監視し、彼らに最低限の資源を提供する場であり、魔石とあらゆる素材を回収する場だ。

 この施設の地下にはシンス達が白宮神殿と呼ぶ建物が建造されている。

 

 「ソーラナ!」


 「おはよう、エリー」


 振り向くとそこには【エリー・サーチャス】がいた。私の同期であり、幼馴染であり親友。


 「それで、昨日その後バレてからは?」


 「めちゃくちゃ怒られた」


 「そりゃそうよ。

 シンス達に多めにご飯を上げるなんて。

 この国のシンスに対する監視の目はそこらの凶悪犯罪者より強いんだよ」


 「次から気をつけるわ」


 「アンタのそれがバレないように気をつけるってのは私にはバレバレなんだからね」


 「たくさん迷惑かけるからエリーには先に謝っとくね」


 「たく」っと文句を言いながら到着したのは管理棟にある、私達二人のプライベートが許された仕事部屋。

 仕事に使用するような物は一式備えられていて、一日引きこもって仕事が出来るようにベッドまであるがほとんど使った事がなく定時帰りで高収入な役所仕事。


 「良いわよ、私たちが担当する部分の【メイデン】の監視カメラのハッキングはしておいた。いつでも修正可能よ」


 「貴方もサラッととんでもないこと言うわね……」


 シンス達の住む街は私達から【メイデン】と呼称され、広さは約30ヘクタールと地下都市としては莫大な広さを誇る。

 そこを全十万機の高解像度監視カメラと神の目と呼ばれるメイデンの太陽による絶対の監視設備。

 都市の名前の由来は作った人の名前という説が有力だ。


 「ただ、物資の流通量は誤魔化せないわよ」

 

 「……うん」


 そればかりは誤魔化せようがないと言うのはわかっている。

 このまま続ければ監視カメラを避けても誰が主犯でシンス達に物資を提供しているのか一時的に誤魔化せる程度だ。

 本腰を入れ、調べられれば直ぐに足がつく。


 「それを誤魔化すための物資提供を呼び掛けたサイトも立ち上げてる」


 「難民へのと謳った詐欺サイトだけどね」


 「嘘はついてないわ。彼らは立派な難民」


 「はいはい。

 ところで今日のスケジュールは?

 仕事は真面目にやってなるべく目をつけられないようにしないとね」


 「ええ、もちろん。

 仕事の準備は前日に完璧に済ませた。

 お父さんの分もしっかりやらなくちゃ!」


 お父さんが懲役を終えるまで私がやらなくてはいけない。

 シンス達の環境改善を謳った父さんは間違ってなんかないのだから。


 首元にある幼い日の父と私、それに母が映った写真の入ったロケット。

 面会ができない父と流行病で死んでしまった母に向かって心の中でおはようと言い、笑みを向け、ロケットを制服の中にしまう。


 そして、身だしなみを整えようと鏡の前に立つといつも通りの白と黒の制服に身を包んだ私の姿が映る。

 胸元にはこの国の国旗である金色と白銀色に光る八角ある星のマーク。

 意味は神により与えられた物資の平等分配と繁栄。それに伴う秩序と平和。


 私はその意味を思い出すと現実との乖離にひどく疑問を抱いた。

 偽りの平和を謳うこの国から出て行きたくもあった。

 それでもお父さんがこの現場に帰ってくるまで少しでもシンス達の現状を良くしなくてはいけない。

 そのためにも情報収集は欠かせない。

 シンス達の情報は全て私たちの管理下にある。

 装備、魔法、魔石収集状況。

 裏でも動くが正攻法でシンス達の環境改善を測る。

 

 「装備や食料品の状態から魔石収集量が上がっていると示れば……」


 魔石は今では世界中のエネルギー源、生活必需品になりつつある資源だ。

 その採掘量が増えるとなればお金に飢えたこの国の上層部は無視できないはず。

 そのためにもシンス達の中から協力者を得なければならない。

 シンスの環境改善を望んでいて、そのために命懸けで成績を上げ、熱心に戦い続けられる人を。


 「探さなくちゃ……」

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