懐かしい再会
微妙にねくすと! 絡みます。
「結花ちゃん? あ、」
私を呼んだのは、懐かしいようで、そうではない、可愛らしい声。
振り返れば、そこにいたのはマント姿のふたり。フードを深くかぶった男の人と、小柄な女の子。
風がフードをふわりと揺らして、顔を露にした。
「……ひなちゃん?」
似ていた。もう失くしてしまった思い出。遠くなってしまった過去。可愛くて優しい幼なじみ。
「ひなちゃああああん! 会いたかったよおおおう!!」
抱きついた私を、一生懸命受け止めようとする身体。髪色が違っても、その姿は魂は彼女のもの。間違うはずない。
「うわあああん!! もうつかれたよおお! 帰りたいよおおお!!」
結構メンタル追い詰められてたらしい私は、隣の男の人がひなちゃんから引き剥がそうとしてくるのに抗って泣き続けた。涙って止まんないものだね、いやマジで。
さて。
泣いてさっぱりスッキリした私は、私を慰めてくれた幼なじみと、それを阻止しようとする、もうひとりの幼なじみと向き合っていた。
場所は魔王城。
大事な事なのでもう一度。場所は魔王城。
……なんでやん。
一瞬で転移とか、いやそらスゲェな!? でもなんで魔王城!? ここって魔王さまの住んでるとこでしょ!? ひなちゃん魔族になっちゃったの!?
と、まぁパニックになったわけだが、説明を聞いて納得。
日本で亡くなったひなちゃんは、こことは別の世界に生まれ変わって、ここに召喚されたこと。その後、もうひとりの幼なじみの朱桜が勇者として召喚され、再会したこと。召喚した国を出て魔王城に就職したこと。
納得はしたけど、なんていうか、さぁ。
「波乱万丈すぎん?」
「それなー」
カラリと笑うその顔に、憂いはない。隣にいる最愛がそうさせないんだろうな。
「執念だね、朱桜」
「なんとでも」
でも良かった。と穏やかな表情の朱桜を見て思う。ひなちゃんを失ってから全方位敵みたいな荒れっぷりだったし。
「で、なんで私ここに連れて来られたん?」
「えーと、ね」
ひなちゃん、今はレンちゃん? 曰く。
私のハゲモゲの呪文は、なんと魔族のみなさんにも効果覿面自業自得無双状態をぶっちぎったらしく、(こんなオモロいの)見過ごせないと、魔王さまがひなちゃんに、私の回収を命じたんだとか。
「ハゲモゲの呪文最強説」
「ほんとそれなー」
うんうんと頷く、私の隣。
え? 私の隣は空席だったぞ? なにこれドッキリ!?
「リトさま」
「はぁい、あたし魔王」
軽っ。ひらりと手を振って挨拶をくれたのは銀髪緋色の瞳の超絶美少女だった。
「ん? リトさま? て、理都ちゃん?」
なんとなく面影がある、去年のクラスメイト。事故に遭って亡くなったんだけど、でも魂の色おんなじ、ってあれ?
「え、結花!? やだうそ久しぶり!!」
世界ってこんなに狭かったっけ?
続きます。