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グラさんと呼ばせてください

「はっ」



目が覚めると、真っ暗な世界が広がっていた。右を見て、左を見たが暗かった。寝ぼけまなこだった頭が徐々にさえ始めていく。私は私自身が何をして、この状態に陥ってしまったのか思い出せない。あまつさえ私が今どんな服装をしているのかも解らない。この真っ暗な世界で私自身が見えない。男なのか女なのか、髪は長いのか短いのかさえ、解らない。ということは無く私は女だ。そして日本生まれの日本人。プラスオタクだ!!それだけはわかる!!

本当は今日家に帰って推仕事をする予定だったのに。くそぉ。私の推活がぁ。私は悲しみのあまり膝と肘を真っ暗な地面につけて泣き叫んだ。

……………………


・・・・・どーして、こうなったぁぁぁぁぁぁ



だが如何せん。周りを見渡しても黒、黒、黒、黒!! 


私がどうしてこの真っ暗の世界に来てしまったのか皆目見当も付かない。

 叫んでみたが辺りはアリの子一匹もいないのでないかと疑うほどの静寂だった。

「家に帰りたい。」心の底からでた、言葉だった。

「はぁぁぁ 行くか。行かないか。悩むならば行くしかない!」早く帰って推仕事する為にも、進むことにした。この場所で地団駄踏んでいたって、何も変わらない。何処まで続いているのか、はたまたどこに向かえば正しいのか解らなかった。


キラン


「ん?」何か正面の方が光ったように見えた。


 真っ直ぐ進んでいると、足元に何か転がっていることに気付いた。


「これ、なんだろ?腕章?」


どこかの学校のだろうか。とりあえず腕章を拾って進むことにした。大体ゲームにおいて落ちてあるアイテムは拾うことが大切だからね。これはゲームにおいて常識だと思う。ここテストにでるよ。これは腕章を拾った時に気付いた事だけど。何だろう。林檎の甘い匂いがした。それは落ちていた腕章からも匂うけど、それ以上に私の進んでいる道筋からも強く感じた。少し進むと匂いは、もっと濃くなり私は少し速歩になった。5分ほどかなたったと思う。時計が無いから時間が分からないけど、もしかしたら5分以上たったのかもしれない。普段から運動していないことがバレる様な気がして、


「余裕ですが、なにか」という顔で速歩のスピードを遅くすることが出来ずにいた。疲れた私は脚の皿に手を置き、息を整えて顔をあげると


「え。なんじゃこりゃーーーーーー。」


目の前には桜色の扉が表れた。


「あれ?さっきまで無かったよね。え?」


先程までは無かったはずだ。なのに目の前には扉がある。これは開けるべきか、はたまた開けないべきか。


「悩むなぁ。どうしようかな。開けなきゃ何にも始まらないよね」


私は扉の取っ手に手をかけ開けた。開けなければ始まるもんも始まらない。意を決して取っ手に手をかけ開けたが、目の前に広がったのはレンガの壁だった。


「は?うん。これは間違えだ。間違い」


扉を閉めた。そして再度開けた。何も変わらなかった。

変わらずレンガの壁が目の前立ちはだかっているだけだった。


・・・「えーと。レンガの壁?」


あほずらのごとく、扉から手を離すとあったはずの扉が無くなっていた。


「やられた。そうきたか。」


後戻りできなくなった私は辺りを見渡すと、ここは建物と建物の間の路地であることが分かった。


「取り敢えず、人通りが多いところにでも、いこっかなぁ」


路地を抜け太陽の光がある方へ進んでみることにした。


「わぁ 人が多い!!」


目の前には沢山の人と美味しそうなお店が沢山並んでいた。お祭りごとを行っている様な雰囲気に圧倒されつつ、うずうずとした感情を持った私はお店のショウウィンドウを見てまわった。


「どれも美味しそうぉ。たべたぁい。ん? あれなんだろう」


見たことの無い食べ物を食べて歩いている人や、キラキラと輝く宝石のような食べ物が置いてあるお店もありショウウィンドウを見てまわった。見たことの無い物ばかりで、目に入る物すべてに驚きが隠せなかった。その中でも一際目立ってた物に見入っていた私の背後に黒い影が。

 

「これ。何だろう?飴?ビー玉?」


その場から動くことが出来ずにいた私に対して「お嬢ちゃん。そんなにこれが珍しいかい?」


「はい! 初めてみぃぃぃぃ」


「え?」


私の目の前に、人一人殺してそうな人間がいた。


「いっやぁぁぁぁlll」


「えええええlll お嬢ちゃんシー。静かに!!」


私は突然サングラス&スキンヘッドの男に口を塞がれた。


「騒がないでくれよ。俺は嬢ちゃんが見てた店の店主だ!!」



「わふぁりまひぃた。がらくぅちがら、でぉをはなひぃてくだふぁい」



「あっ。わるいわるいw」ようやく口から手が離れた。


ぷふぁ 「いっいえ。私こそ大きい声を出してしまい、すみません。」

私は店主に頭を下げた。


「俺も突然声かけて悪かった。すまん。ここはお互いさまということにしてくれないか?」

右手で頬を掻きながら呟いた。


「はい。グラさんがよろしければ。」


「グラさんは、俺のことかい?」


「あっすみません。お名前をお聞きしていなかったので・・・つい」


やばい。舐めた真似しやがってって殺されるかも・・・


ふっははぁ「いいな グラさん。気に入ったぜ。嬢ちゃん」


よかったぁ。セーフセーフ


「ところで嬢ちゃんは、これをさっきから見ていたが、これを知らないのか?」


「はい。私のいた場所では見たこと無いですね。」


「そうかい。これはこの国。トゥレス国の御菓子でシュガーパレットというやつだい。一粒食べてみるか?」


店主が差し出してきたのは飴玉の様なピンク色の小さな丸い御菓子だった。


食べたい!!あれ?


「ん?」私は理解が出来なかった。


「あのっ。グラさん」


「ここってどこですか?」


「ん?ここかい?ここはトゥレス国だよ」


ええええええええええええーーー


私は今までの生きてきた中で一番の大きな声を出してしまった。


「日本じゃないんですか?」

焦ってグラさんの胸倉を掴んでしまった。


「おっおう。俺は二ホン?二ホンという国を聞いたことが無いな。」ドウドウと言われた。


「そんなぁ」へなへなと座り込んでしまった。


「まぁ嬢ちゃん。シュガーパレットやるから、元気出せって。ほらっ」


「あっありがとうございます。いただきます。」


グラさんの手からピンク色のシュガーパレットを口に含んだ。ほのかな桜の香りがする只の飴だった。少しがっかりしてしまった。


「あっそういえば幾らでしたか?」


「そんなこと気にしてたのか。気にせず食え!さっき驚かしたお詫びな!!」笑顔が眩しい


「いえっ。そこはお互い様なので、ちゃんと払います・・・よ」


やばい。やばいやばいやばいやばい。ここ日本じゃない!!無銭飲食やっちまった。何か持ってないか、急いで服のポケットを探した。出て来たのはさっき拾った腕章?だけだった。良く見てみると中央に3という数字が彫られているピンクゴールドのみだった。終わった。やっちまったよ。私。腕章をポケットにしまい、グラさんの方を向いた。


「すみません。今手持ちが無いので、ここでシュガーパレット分働かせて下さい。」頭を下げた。


「いやいや。いいって気にすんなって。元々お詫びであげる予定だったしな。」


「そんなぁ。流石に無銭飲食はいけないです。」


「いや。大丈夫だって」

私とグラさんが言い合っていると











   それなら俺が払おうかぁ?



声の方向を振りかえってみると林檎の様な赤い髪と桜色の目をした男が立っていた。



「え?」どちらさん?


「おねいさんの髪色~ 俺とおそろっちだし☆ これもなんかの縁だからね」


「えーーっと。私の髪色と目は黒色なんですが。。。」


目の前の男とは似ても似つかない異なる色なんだが。なにより、その前髪を上げの黒縁メガネによって、一層チャラ男感が否めない。


「なんだ。嬢ちゃん気づいてなかったのか。それは食べた色に変化するお菓子だよ」


・・・・そんなばなな


「そんなわけないじゃないですか(笑)」


流石にないない


「嬢ちゃん。ほれっ」


疑る私に対してグラさんが、鏡を渡してきた。


「あっありがとうございます。ええええええええええ すっごーい なんでなんで。変わったの?ですか?」


驚いた。生れてこのかた22年髪の毛を染めたことはあれど、飴を舐めただけで髪の毛が染まることは初めてだった私は興奮した。携帯が今手元にあるのならば、是非とも写真を撮りたかった。

私が髪色を確認している間にチャラ男はというと。


「そういえば、いくらですか?」


「いや。これは嬢ちゃんにプレゼントしたものだから大丈夫だぜ。」


「それじゃ。お店が成り立たないでしょw」


「そうかい。3タイムだよ」


「じゃあ、これでお願いします。」


「あんがとな。嬢ちゃん良かったな。これで無銭飲食じゃなくなったぞ」

鏡を眺めていた私の頭にグラさんの手が粗く置かれた。


「髪の毛がぐちゃぐちゃになります!!」


「嬢ちゃんよかったぁ。あの兄ちゃんが出してくれたぞ!!」


「え?あっありがとうございます。このご恩は一生忘れません」

私が頭を下げていると、チャラ男。もとい優しい優しい方は


「全然☆ 気にしないでぇ」


わぁ。本当に優しい人だなぁと、思いつつ改めて鏡を見直してみると、服装がスーツ姿ではない事に気付く。あれ?私こんな服持ってたっけ?白のブラウスに赤色の羽織、黒のロングスカートを着ていた。


「あの、そのシュガーパレット?を、食べると服装まで変化するんですか?」


という問いに対して二人は話すのを止め、こちらに視線を移し目を大きく見開いたと、思う。だってだってグラさんサングラスかけてて、わかりずらいんだもん。


「いいやぁ?嬢ちゃんの服装はシュガーパレットを食べる前と何も変わってないぜ」


「俺はおねいさんが食べる前を見ていなかったから知らないけどぉ。シュ

ガーパレットで服装まで変わったなんていう人見たことないなぁ~。服装を見てもトゥレス国の物であると思うけど。怪しいね。」


あれ?最後の方お声がドスくなっておりませんか?あっ気のせいですかね。グラさんもあれチャラ男の最後の方聞こえてなかったのかな。頷いているだけで擁護してくれないな。あはっあはは。うっすら身の危険が。。。。


「で、名前と出身国教えてよ」

あれ?さっきまで優しかったチャンチャラチャラ男が見当たらないぞー。目の前にはグラさんよりも怖い般若のお顔が見えますぞい☆


「えーと、出身国は日本。日本国です!! 名前は池途李葉いけとりはです。貴方は。貴方は何て名前なの。名前を聞いたんだから、言ってよね。」


負けじと睨みつけてやる。


「へぇ― 珍しい名前だね。リハがファミリーネーム?後、初めて日本国って聞いたよ。そんな国本当に、本当にあるの?俺はトゥレス国出身のカノン・ユチーフです。よろしくねぇ☆」


全然宜しくしようとしてないよね。目が疑ってまっせ。旦那

しかも日本知らないってことは、やっぱ異世界なんだなぁーーー


「池途がファミリーネームです!!日本国をユチーフさんが知らないだけなのでは、ないでしょうか。。。。」

声が後半になるにつれて小さくなってしまう。ユチーフさんの顔が怖すぎて見れない。そろりと顔を上げて見ると笑った。笑顔ではあるけど、目の奥が笑ってない。イケメンの裏が有りそうな笑みは怖すぎる。。。。


「ふふっ 結構言うんだね」


いやぁ 怖っ 今すぐここから逃げ去りたいぃぃl。グラさん助けてという気持ちを汲み取ってなのか、グラさんが


「ゴホン ところで嬢ちゃんはこの後どうする予定だ?」


とチャラ男ことユチーフさんとの会話をニコニコしながら聞いていた店主グラさんがきいてきてくれた。


「え? そうですね。」

何も考えてなかった。御金もないし、扉が消えてしまったからには雨風しのげる家も無い。


「とりあえず。。。。宿付きの仕事を探してみようと思います。紹介所?みたいな所があるのならば教えてもらってもいいですか?」


とりあえず、とりあえず、現状夜までには宿と仕事を探したい!!


「そうだなぁ。仕事探しなら、あのアーチをくぐって、まっすぐ行った先に緑色の屋根が有るだろ? そこを右に回ると直ぐに黒っぽい建物が紹介所だ!! ここはそんなに入り組んだ場所じゃねぇから行けば分かるぜ」


緑の屋根の家を右に曲がって黒い家。うん。大丈夫そう。迷子にならず行けそうだ。


「ありがとうございます。行けそうです。」


グラさんにお礼を言い、ユチーフさんにもお礼を言って黒い家に向かうことにした。が、ユーチフさんに背を向けて歩き出した瞬間、首辺りの服を掴んできた。結果私の首がしまったぁ


「ぐぇ」

首苦しいぃぃ!!!!!!!!!!!!!


「あっごめん」


もっと謝れや


「で、何でしょうか?」


対したようじゃなかったら、はったおすぞ


「仕事ととさぁ。宿探してるなら俺の家こればぁ?俺も居候している身だから、家主に聞かなきゃ分かんないけどさぁ。」


何だろう。善意で提案してくれているんだろうけど、その微笑みが余計に怖いし、いつの間にか腕掴んでるし、徐々に強く握っている気が。。。。


「え?でもぉ。家主さんにも伺わなければいけないですしぃ、悪いですよぉ。」


嬉しい、嬉しいけども。タダほど怖いものはない!!


「あっ大丈夫だよ☆ 俺のタイプでは、まっっっっったく無いから。貞操がとか、バカな考えは辞めなよぉ。」



あはははは。奢ってもらった身じゃなければ、殴って持ちうる語彙で罵って、走って逃げるのになぁ。くそぉ


「嬢ちゃん。嬢ちゃん。」現実逃避をしていた私に


「あっはい。」


「こう、にいちゃんも言ってるようだし、お言葉に甘えちゃいな。」


「いやぁ。でも初対面ですし」


目線をそらすと、ユチーフさんと目が合い、名乗ったんだからいいでしょ的な目をされた。解せない。ユチーフさんに利点があるように感じないんだが。


「それにな、にいちゃん。オルフェスさんとこの居候だろ。」


ユチーフさんを見ると


「あはは。知ってたんですかぁ。」


おちゃらけながら答えていた。さっきの雰囲気どこいった。


「身元もハッキリしてるし。大丈夫だろ。なんかあったら頼ってこいよな。最初に声かけた縁もあるし。なぁ?」


あっ好き。ごめんなさい。人一人殺してそうな人とか思ってしまって。心の中で懺悔します。グラさんがそういうなら


「あのぉ。ついて行っても宜しいでしょうか。」

頼むことにしよう。


「アハハ! 最初から言ってるじゃーん。おいでって、ほらグラさん?に、ちゃーんと挨拶して行くよぉ。日が暮れちゃうでしょ」


そう言い、やっとこさ、手を離した。

私は改めてグラさんに頭を下げた。


「ありがとうございます。行ってきます。」


グラさんは少し目を見開き、


「おう。気いつけてなー」


と言って手を振ってくれた。私は手を振り返し、少し先を歩いている彼について行った。


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