目の前にふよふよと蜘蛛が動いてる気がして鬱陶しい
この時期、花粉症と風邪の区別がしにくく困る事がよくある。
たまたま納期の迫った仕事が増えていたので休むに休めず、市販の薬でまぎらわすよりは早く治るだろうと、病院のお世話になった。
そんなある日。右目だけ、突然視界にゴミが映るようになった。
それは本当に突然で、知識として『飛蚊症』を知っていたので「これが飛蚊症か」と納得はしたものの、どうしようもない程の違和感が。
このゴミ。例えるならば、壊された巣を必死に回収しながら逃亡する蜘蛛とか、水に浮かぶ鉛筆の芯のカスとか、もつれた髪の毛とか、そんな感じに見えるナニか。
そして、見えるけれど触れない。邪魔なのに退かせない憂鬱。
自分はかなりの近視+乱視で眼鏡がないと生活が出来ないのだが、常に眼鏡のレンズが汚れているような状態でストレスが溜まる。
ネットで色々と検索した結果、すぐに眼科に行かなければならない程ではないと判断して様子を見た。
というのも、花粉症と風邪の併発で体調が悪かったので。
だが、自己判断で決めつけるのも不安なので体が楽になったのを見計らって眼科に行く事にした。
眼科に行くと看護師さんに症状を聞かれ、視力検査やら眼圧検査やら視野の検査をした後に先生の診察。
すぐに眼底検査をする事に。
瞳孔を拡げる薬を差して15分。看護師さんにペンライトでチェックされOKをもらった後、検査にコンタクトレンズを使用するからと痛み止の目薬。
そして再び先生の診察。
ソフトコンタクトレンズをはめられた後、眼底検査開始。
まぶしい程の光を当てられたまま覗き込まれる訳だが、脳内では
「この攻撃を受けてみろ『光の柱』」
「うぉー、目が、目がぁーーー」
と、叫んでいた自分。
検査なので、どれだけ眩しくても目を瞑る訳にもいかずひたすら忍耐。
その度に、脳内で適当な技名をでっち上げては「目が、目がぁーー」を繰り返す。
しばらく待った後、3度目の先生。
結論。間違いなく「飛蚊症」。で、強度の近視の人はなるらしい。
ストレスとかストレスとかが原因じゃないかと思っていただけに、聞いた瞬間笑いそうになってしまった。
しかも、目の中の硝子体と呼ばれる卵の白身みたいなものが、部分的に網膜から剥げたのだと思いきや、ペロンと全部剥げた状態だという。
途中経過無しかと更に笑いそうになった。
2・3ヶ月もすれば、落ち着いて目立たなくなるらしいので、今のままなら経過観察も必用無しとの事。
帰り道。瞳孔の開いた右目は焦点が合わず、光がキラキラして見えて、実にファンタジックな景色だった事を報告しておく。