3・瞳
「環境管理局を襲ったテロリストですが、エレメント4の活躍によって、無事全員逮捕されました」
朝から「てれびじおん」が「にうす」を流している。
また「えれめんと・ほお」の話だ。
環境管理局とは、食料の供給と人口の増減を管理する組織。
体制側の組織だが、あまりいい評判は聞かぬ。多くの国家が所属する国家連盟なるものに属しているらしいが、その立場ゆえ強権的である。
市場に供給される食料が少なく、滞りがちな一方で、子どもの数に制限をかけ続けるわけであるから、その不満も溜まろうというもの。
たんほいざあは長きに渡り戦争に非干渉な態度をとった。
ゆえに「えこ戦争」にも巻き込まれず、現在世界的に見ても繁栄している国なのだそうだ。
教師殿の受け売りだが。
一方で、戦争なきがゆえに、人口の増加とそれによる食料の不足も目立つ国である。
環境管理局はそれを是正すると宣言して締め付けを強化しているのだ。
これに反発した「てろりすと」が、爆破などの「てろ」を行っている。
「政府は、エレメント4に対し表彰状を送ると発表。これについてエレメント4のリーダー、ヴォルケーノ氏の映像コメントが届いています」
画面に金髪碧眼で長身の男が映る。これなる男は、炎を自在に操る能力を持つと聞く。
ここなる世界では珍しい筋骨隆々の立派な体躯。
「我々は、当たり前の事をやったまでです。彼らの主張に理解が出来ないわけではありませんが、暴力をもってこれを解決するのは人の道に反する行いです」
言葉こそ綺麗なれど、気に食わぬ。このぼるけいのなる男の瞳、暗く、淀んでいる。
かつて見たある男の目に似ている。あの大谷吉継殿をして「人面獣心」とまで言わしめた男が、暗き瞳に……。