15・外道
「ヴォルケーノ!」
「ヴォルケーノが助けに来てくれたんだ!」
「やった!!」
わけもわからず追い詰められていた所に、英雄が登場し大騒ぎの一同。
「不用意に近づくな!」
拙者の叫びも虚しく、何人かが駆けてゆく。
「助けてヴォルケーノ!」
「可哀そうに。こんなに怯えてしまって……」
にい、と口の端を歪めるぼるけいの。
ああ、やはりそうだ。あの笑い方、あの男にそっくりだ。
秀吉公が甥にありながら西軍を裏切りし、小早川秀秋に!
「すぐに楽にしてあげよう」
ぼるけいのの右手の指一つ一つが燃え上がり、
「ふぅっ」
蝋燭を吹き消すが如く、ぼるけいのがそれを吹くと、炎が五指から飛び出した。
「えっ? うっうわああああ!!」
「きゃああああああ!!」
近寄っていた生徒たちにそれが燃え移り、あっという間に火だるまにしてしまう。
絶叫し、のたうちまわるがすぐに動かなくなった。
「な、何やってんだアンタ!!」
ぐしおんが目をむいて叫んだ。
「お前たちはバカなのか? 誰が火を放ったと思ってる? 俺に決まってるだろうが」
何の罪悪感も感じておらぬのであろう。淀み無く言う。
……やはりこやつ、外道が類。
そして、窓を封じているのも、こやつの仲間、くいつくさんどであろう。
雨も、電波障害とやらも、他の仲間のせいに相違あるまい。
「は、はぁ!? 何でそんな事をするんだよ!」
「世間はテロに手ぬるくてね。環境管理局も頭抱えてんのさ。学生がテロリストに殺されりゃ、世間様の風向きも変わるだろ? まぁ世の中飛行機はいくらでも落ちている。所詮は運だ。諦めろ」
「あ、あんたら正義の味方なんじゃねえのかよ!!」
「そんな事を言った事は一度もない。お前らが勝手に言ってるだけだ。俺たちはミュータント能力を環境管理局に買われたしがないサラリーマンだよ」
秘密なんだがね、と続ける。
即ち、聞いた者を逃がす気は無いという事。
「ふ、ふざけるな! お前わかってんのか? お、俺の親父は経済大臣だぞ! 他にも政府高官や官僚の子供がたくさんいるんだ。どうなるか……」
泡食って叫ぶぐしおんに、何人かがそうだそうだと追従する。
いずれもぐしおんと仲良くしている上流階級の子たちだろう。
「くくっ……だから可哀想だと言ったんだよ。とっくに話は通っているよ」
心底嘲るようにぼるけいのが言う。
「あのな? 今の時代、子供は一人しか作れない。なら失敗してしまったらどうする? ソイツで我慢するのか? だからお偉いさんはこう考えた。殺してやり直そう」
「え? は? う、嘘だ」
「そういう意味では、他の奴らもとばっちりだな。ここが選ばれたのは貴様ら失敗作を消したがってるお偉いさんがいるからだ」
その言葉に、ぐしおん達へ恨みとも怯えとも取れぬ視線が向く。
「まぁまぁ、そう邪険にするな。どうせ仲良くみんな死ぬ」
ぼるけいのの全身から一気に炎が噴き出した。炎爆ぜ散り、近くに居た生徒たちを焼き払って行く。信長公もかくやと言う、酸鼻極まる焼き討ちである。
無論、傍観するつもり無し。
「戯けたる外道! そこに直れ! そっ首たたき落としてくれん!」




