12・惨
と、今度はまたも窓際から声が上がる。
なんと、窓が塞がっていた。先ほどまで窓の外は大雨とはいえ見えては居たというのに、真っ暗になって何も見えぬ。窓を開けようにも固まってしまっていて開かず。
「な、何だよこれは! コンクリートで固められたみてえだ!」
完全に閉じ込められたという事。
やはり、何者かがこの学校を狙っているのは明白。
「これって、相当ヤバくない?」
「ちょ、ちょっとオレ、先生呼んで来る!」
「お、俺も!」
止める間も無く、ぐしおんら男子数人が教室から飛び出した。
「いかん……!」
拙者は慌ててその背を追って廊下に出る。
この事態を引き起こした者の目的はわからぬが、閉じ込めようとするくらいである。
生徒を逃がさせぬであろう事は容易に想像がつく。
案の定、廊下には生徒だけでなく、全身黒づくめの集団が居た。
烏の羽根が如き黒装束は、てれびじおんで見た特殊部隊とやらにそっくりである。
顔まで「がすますく」なる仮面で覆い、赤いぎやまんのごおぐるでその表情は伺い知れぬ。
正確な人数は四人。だが全員ではなかろう。先ほど突っ込んできたとらつくに乗っていたに相違あるまいし、しからばあの車は十人前後は乗れよう。
生徒の一人がその黒装束に近づいていく。
「あ、ああ良かった。警察の人です? ちょっと今教室の窓がおかしくて……」
「馬鹿者! 近づくな!」
「え?」
叫ぶが、遅かった。
「あ……っ」
その背から、赤い血が噴き出した。
「え? あれ……?」
何より本人がわかっておらぬ。
撃たれたという事に。そして、そのまま膝から崩れ落ちた。
「貴様ら、早く教室に戻れ。こいつのように死にたくないならな」
黒装束は、冷徹に言い放つ。その手には、いましがた少年を撃った小型の種子島がある。
肩から大きな種子島も抱えており、これもてれびじおんで見た、連発式の「ましんがん」なる種子島であろう。
「う、うああああ!?」
我が学級のみならず、隣の学級から出て来ていた生徒たちが、慌てて教室に戻っていく。
「お、おい! イナバ! お前も戻るんだよ!」
その戻りざま、ぐしおんが拙者の袖を引いたがそれを振りほどく。
「拙者は残る。お前は行け」
「え? あ……く、くそっ、知らねえからな!」
名残惜しそうに戻っていくぐしおん。
ふ。軽薄な奴だが悪い奴ではない。




