9・聞
ふあらの言う事は滅茶苦茶ではあったが、拙者も気になるは事実。
拙者の喋りがこの世界に合わぬ事も承知している。
ゆえに彼女に聞き込みを任せ、拙者はあたりを調べてみる事にした。
蟻地獄状態となっていた道路は元に戻り、痕跡はまるでない。
土砂を自在に操るとはげに恐ろしき力か。
その気になれば人を生き埋めに出来るのだ。
商店街から学校へ続く道を色々と調べてみたが、何も変わった事は無い。
「ううむ……」
と、そこに見知った人影が近づいて来た。
「あれ? 何してんの?」
そう問われるのは二度目だが、流石にふあらでもなければ近づくまでわからぬという事は無い。
学校帰りの級友だ。
ああめんがあど・1・こつぺりあ。
いなば時代にはたまに話す程度の仲だった少女だ。
「いや、どうという事はない。つかぬ事を聞くが、何かここで変わった事はござらんか?」
「最近のイナバより変わってるものはないと思うけど……」
「……」
「あー、でも、なんか今日商店街の入り口に車止めないわよね」
言われてみれば、そうだ。
拙者が今日、ひかれたのも、普段なら車など入ってこれぬ場所であるからだ。
「ここって通学路だから車は入れないはずなんだけどねえ……」
ああめんがあどの言う通りだ。
ここでは、基本的に通学路は店街を通る一本に限定している。
これは、地域の人間で子供たちを見守るとの考えによるものだ。
なるほど、知り合いばかりならば帰り道も安全であろう。
過保護がすぎるようにも思うが、この世界では長子しかおらぬ家がほとんど。
家の断絶を心配するのも無理なかろう。うちの学校には要人の子息も多い。
さればこそ、ここに車など入れるはずが無いのだ。
「……なぜ車止めは撤去された?」
「さぁ? 商店街の協会長さんなら知ってるんじゃない?」
「ふむ……と痛たたた……!」
急に耳を掴まれ引っ張られる。
「何を楽しそうに語らっているのかしら?」
またも突然現れたふあらである。相変わらず、神出鬼没。
そして行動の意味もさっぱりわからぬ。
「ファラ、別にそんなんじゃないわよ?」
「どうだか。さぁ、行くわよ」
「待て。車止めが消えた事を協会長に聞かねば」
「もう私が聞いたわ。行くわよ」
「ううむ……」
半ば拉致のように、ふあらから引きずられていくのだった。




