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第1話 神装解放「白狼・神衣」

初投稿です、よろしくお願いします

 高校二年の夏休み、俺は田舎に住む父さんの方の婆ちゃんの葬式のために夏休み初日から帰省をしていた



 既に式自体は終わっていたので俺たちは親戚一同で真昼間から宴会をやっていた。正直こっちがメインじゃないかというくらいの大盛り上がりを見せていている



「いやぁ〜燐くんがこんなに大きくなってるとは思わなかったよ!ほれ、1杯おじさんに付き合ってくれ」

「いやいや、俺まだ高校生ですから無理ですって」



 俺の名前は九堂燐(くどうりん)、一応九堂家の本家の一人息子という扱いだ。正直本家とかそんな仰々しいことは言ってみたものの俺の家自体はごく普通の一般家庭なんだよ



「...(酒くせぇ〜...)」


 俺はどんちゃん騒ぎする親戚たちから逃げるために夏休みの間俺のために用意された部屋へと戻る



 九堂家は昔は結構名のある良家だったらしく婆ちゃんが住んでいるこの屋敷は結構広い



 小学生3年生くらいまでは長期休業がある度にこの田舎にやってきていた、年をとる度に田舎での楽しみよりゲームやテレビなどの楽しみに興味を示し始めた俺はいつしか田舎に帰って来なくなっていた



「年に1回くらいは来ておけばよかったな.」



 部屋に広げてあった布団に寝そべりながら、そんなことをつぶやく。後悔してからじゃ遅いとは言うが人間は後悔した後じゃないと気づかないことだって多いんだ


「あぁ熱ぃ...、扇風機つけよっと...」


 ゴロゴロと布団の上を転がりながら扇風機まで近づくスイッチを押す


「ふい〜快適〜」


 残念ながら婆ちゃんの家にはクーラーがないから扇風機で我慢しないといけない、でも婆ちゃんの実家は海が近くて涼しいところだからそこまで不快なわけではない


「はぁ〜...暇だな、絶望的に暇だな」


 何にもない山と海の囲まれたド田舎なので本当にやることがない。俺は仕方なしに携帯で「Youtu〇e」を視聴する



「んー...なんだこれ、「街に妖怪現れる!!」...へぇ意外とリアルだな」


 どんな動画かと思って気になって見てみることにしたがそこには首からしたが牛のような男が街を徘徊している動画だって


「よく出来てるな...ってこれ映画の予告か」


 動画をずっと見ていると最後の方に「この夏、あなたを恐怖へと誘う」なんていうありきたりの宣伝と共に公開日が出てきた


「面白そうだけど俺には関係の無い話だな」



 見たい気持ちはあるが残念ながらここには映画館なんてものは存在しないのでこの夏ずっとこっちの田舎にいる俺には関係の無い話だ。余談ではあるが映画館もないならばコンビニもスーパーない、もちろん「ポケストッ〇」もどこにもないあるのは田んぼと畑だけの今どき珍しいガチ田舎なのだ


「............ん?」


 黙って動画を見ていたら誰かが扉をノックする音が聞こえてくる、母さんか?



 ひたすらノック音だけが響いてくるので俺は仕方なしに自分から向かうことにする


「誰ですか〜...ってカムイかよ」

「ワンワンッ!!」


 扉を開けてみるとこの屋敷に飼われている白い大きめの犬のカムイがいた。正確にはムサシ3代目、カムイというのは父さんが小さい頃から婆ちゃんが犬につける名前らしい、だから今は3代目


「どうしたんだ、カムイ〜」



 俺が首元を撫でてやりながらカムイに話しかける


「ワンワン!!」

「おーおー、そうかそうか!」


 全然何言ってるかわからないけど、とりあえずわかっている振りをしておこう

 カムイはこれからうちで引き取ることになってるから今の内に仲良くなっておく必要があるのだ


「ワンワン!!」

「ん?どうした......って危ないだろ」


 カムイが俺の部屋に入ると壁に立てかけて置いた日本刀を咥えて俺のところまでやってくる


 どうして日本刀があるかというと、これは爺ちゃんの形見らしくて婆ちゃんが遺書に俺に受け継がせろと書かれていたらしく俺が受け継ぐことになったのだが


「これを俺にどうしろって話だよな」


 やはり男として日本刀とはロマンあふれるものであるが、モノホンの刀をもらうとなると話は別だ。簡単に言えば銃刀法違反だ、せっかく婆ちゃんが俺に残してくれた物ではあるがものすごい困ってるのが事実だ



「んー...カムイ、暇だから散歩でも行くか?」

「ワンワン!!」


 うん、どうやらカムイも散歩も行きたいみたいだな


 久しぶり来たんだから少し歩いて回りたい気持ちもあったしちょうどいいだろう



「この刀は......部屋に置いておくのも心配だから持ってくか」


 俺は刀が入っていた綺麗な刺繍が入った長い袋に閉まってカムイと共に散歩に出かける



 照り輝く太陽の下で俺はカムイと一緒に田んぼのあぜ道を歩く。カムイはリードに繋いておらず楽しそうに俺の周りを自由に歩き回る。俺よりこの土地については詳しいだろうし、俺はカムイの後をついていきながら散歩している


「しかし昔からここは変わってないよなぁ」


 何年も前の俺の中の思い出と変わっていないほどただただ田んぼと畑が広がっている


「だんだん昔のことを思い出してきたな.....」



 今まで忘れていた思い出がゆっくりと蘇ってくる



 確かこっちに来る度に一緒に遊んでいた女の子が2人いて......名前は思い出せないな

 それでも俺を含めた3人で鬼ごっことかしたり、近くに山に探検しに行ったりといろんなことをしたのは思い出してきた



「こっちの子だったはずだから会えるかもしれんな...」


 名前も顔も全く思い出せないけど、そこまで広くない所だし夏休み中に1回くらいは会える気がするな。まぁでもこっちは何も覚えてないから向こうも全く覚えていない可能性が高いんだけど



「ワンワン!!」

「あぁ悪い悪い」


 カムイが立ち止まっていた俺に向かってせかすようにほえてくる。しかしさっきからカムイはどこに向かおうとしてるんだかね


 そして進んでも進んでも田んぼ道だと思ってたカムイの気まま散歩にも一応も目的地があったみたいだ。まぁそんなカムイは駆け出してどこかに行っちゃってはぐれたんだけど、まぁカムイのことだからいつか戻ってくるだろう



「うわぁ...でけぇ屋敷だな、おい」


 カムイが走っていった先に向かってみれば、周りを白い塀に囲まれた武家屋敷のような巨大な屋敷だった。婆ちゃんの家もそれなりにデカイが目の前の家はさらにデカイ


 朧気にだが目の前のお屋敷も見たことがある気がする。見たことがあると言うよりは入ったことがあると言うべきだろうか?



「うん、やっぱり俺このお屋敷の中に入ったことがあるな」


 だんだんと思い出してきたな、確かこのお屋敷の庭や建物の中で女の子2人と鬼ごっことか色んなことをした気がする。その時は婆ちゃんと2人、いやカムイ2代目とも一緒に来てたこともあったな...



「南雲...」


 門の前のあたりまで来てみるとそこには達筆に「南雲」と書かれた立派な標識がかかっていた


 南雲さんのお宅か...南雲...南雲...



「あの...我が家に御用でしょうか?」

「...ビクッ!?...え、あ、えと...!!」



 門の前で顎に手をやりながらどうにか思い出そうとすると誰かに声をかけられる


 恐る恐る見てみると歳は俺と同じくらいの女の子がいた。黒髪で綺麗な顔立ち、この暑い日差しの中着物を来ていた、そしてその子の足元には...


「...狐?」


 そう、狐がいた。犬にも見えたがあれはどう見ても毛が白い狐だな



「......あの我が家に何か御用で?」

「え!?あ、いや、散歩してたらここにたどり着いて立派な家だなぁと思いましてっ...!」


 彼女の疑うような目を見て何故か知らないけどものすごい焦ってしまう。まさか泥棒なんかと勘違いされてないだろうな?


「散歩...ですか、あの、あなたはここの土地の方じゃないようにお見受けられるのですが...?」

「あ、あぁ、はい!俺今婆ちゃんの...じゃなくてこの土地に住む九堂久子の孫で、葬式にのためにこっちに来てるんですよ!」

「...九堂?じゃあもしかしてリ...──っ!!...すいません、急用を思い出しましたので失礼します、ホムラ行くよ!ではさようなら」

「コンッ!!」

「あ、あぁはい、さようなら...」


 女の子は急に何かに急かされるように白い狐と一緒にどこかへと行ってしまう

 今俺の名前を言おうとしてなかったか?もしかして彼女が俺の記憶の中に残る一緒に遊んでた女の子だったり...?



「......いや、それは流石にありえねぇか」



 あんな可愛い女の子だったら俺がはっきり覚えているはずだし、そんなラノベ展開は現実じゃありえないだろう



「ワンワンッ!!」

「っとと...!いきなりどうしたんだよカムイ」



 どこに行ってたかわからなかったカムイがいきなり現れて俺のズボンの裾を噛んで引っ張ってくる


「ワンワンッ!!ワンッ!!」

「ん?どうしたんだ......って、おいそんな無理に引っ張るなって」


 カムイが無理やり俺を引っ張っている、まるでどこかに俺を連れていこうとしているみたいな...


「もしかして家には帰りたいのか?」

「ワンッ!!」


 ふむ、どうやらカムイは散歩に飽きてしまったみたいだな。俺も俺で歩き疲れたしもう十分だろうな、また明日も散策すればいいだろうし



「それじゃ帰るとするか...おい、カムイそんな先に行くなよ」

「ワンワンッ!!」

「ったく、わかったよ」


 なぜだかその時カムイが「早く来い!!」と怒鳴るように言っている気がしたので俺は仕方なしにカムイと走って帰ることにする







「はぁ...!はぁ...!婆ちゃんまでってそんなに遠かったか...!?」



 既に30分以上走っているが一向に婆ちゃんの家につく気配がしない、前も後ろも気持ちが悪いくらいに田んぼや畑が無限に広がっている



 俺は手を膝について肩で息をしながら空を見あげてみると、既に日が暮れ始めているのか空はオレンジが濁り紫色の空へと化していた



「......あれ...」




 おかしい...なんで日がもう落ちているんだ...?


 俺が散歩に出かけたのはだいたい13時くらいだ、そしてあの女の子に出会ったのが散歩し始めてから1時間ほど、そしてその後変えるために30分ほどしかたっていない。多く見積もって2時間散歩しているとしてもまだ15時ほどのはずだ、夏のこの季節に太陽がそんな早い時間に沈み始めるなんてどう考えてもおかしい



「...じゃあ何なんだよ、これは...」


 もしかして世にも奇妙な物語的なタモさんワールドに巻き込まれたのか?



 ...まぁ流石にそれは冗談としても一体何が起こってるんだ


 そしてその答えを知っているものは案外自分の近くにいたりした



「これは妖術結界だよ。ちっ、逃げ遅れたな。カオリとホムラのやつ強い気だけに反応しやがって」

「ん、妖術結界ってなんだカムイ?」

「ん?あぁリンはまだ無知だったな。妖術結界ってのは妖怪が作る違う世界に人間を飲み込むための結界のことだ」

「あぁなるほどサンキュー......ってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!?!?!!!?!?!?」

「なんだ、いきなり騒がしいやつだな」


 カムイがやれやれと言った感じでフっと鼻息をはく


「いやいやいや、ちょっと待て!おかしいだろ、犬が日本語しゃべるっておかしいだろ!?」

「おい、俺は犬じゃねぇ狼だ。そこんところ次間違えたらかみ殺すからな?あと日本語が喋れるのは俺が神様だからだよ」

「......いや、意味がわからないんだけど...?」

「はぁ...お前本当にヒサコから何も聞いてないんだな。俺は九堂家の守り神をやってる神獣なんだよ。西欧じゃフェンリルとかって呼ばれてるぞ」



 いや、だから答えになってないだろうが...



「悪いが長々と説明している暇はなさそうだ。奴さんがもう来ちまったぞ」

「来たって何が......ってなんだよあれは...!!」



 少し先の畑からギチギチと気味の悪い音を立てながら何かがこちらにやってくる


 よく目を凝らしてみると腰から下が巨大な蜘蛛になっている女性だった



「......おい、なんだよあれは...」

「あれは女郎蜘蛛だよ、聞いたことないか?」

「女郎蜘蛛ってあの妖怪のか...?」

「あぁ半人半虫、美女に化けて人を喰らう妖怪だよ」

「おいおいまじかよ...」



 カムイが喋るわ、妖怪が出てくるわ。一体どうなってやがるんだよ...



「キシシ、キシ、キシシシシシシシシシ」


 女郎蜘蛛が気味の悪い笑い声を上げながら軋みを上げてこちらに近づいてくる



「リン、早く刀を抜け。こういう時のためにお前にそれを持たせてあるんだ」

「刀...ってもしかしてこれのことか?」



 俺は婆ちゃんの家から持ってきていた刀を入った袋をカムイに見せる


「あぁ早く抜け...ちっ!時間がねぇ、俺が時間稼ぎしてるから早くしろ!!」

「時間稼ぎってお前が...」

「心配ねぇ、グルルルルゥ、ガァ!!!」


 カムイが吠えると突如竜巻がカムイを包み出してそこに1匹の白狼が現れる


「これが俺の本当の姿だ、リンかっこいいだろ?」

「あ、あぁ...」


 さっき自分のことを狼の神様だとか言ってたけど、あれはどうやら嘘じゃないみたいだ。

 俺の目の前にいるカムイから畏怖するような空気が感じられる


「さっさとそれを抜いて力の使い方を理解しろ!!」

「は、力ってどういう...」

「大丈夫だ、刀をぬけばわかる!!お前には九堂の血が流れているからな!!じゃあ俺は時間稼ぎといかせてもらうぜ!!」



 そういってカムイは女郎蜘蛛に向かって駆け出していく


「ガァア!!」

「ギィ!!」



 そして俺の目の前で巨大な白狼と女郎蜘蛛の戦いが始まる


「......おいおい本当に何が起こってるんだよ...」



 これは本当に夢じゃないのかよ...

 目の前に起こってる事は事実なのかよ...


 俺は恐怖とそしてよくわからない感情が混ざり合いその場に立ちすくんでることしかできないでいて



「おい!!早く刀を抜け馬鹿野郎!!」

「ギィ!!」

「なっ!?くそっ!!」


 女郎蜘蛛が突如下半身の蜘蛛の部分から糸を吐き出してカムイを地面にくくりつける


「ギチチチチチチ」


 そして女郎蜘蛛は既に美人とは言えない笑みを浮かべてゆっくり俺の方に近づいてくる



「おい!!リン!!しっかりしろ!!」

「......え、あ...」


 カムイに名前を呼ばれて意識が戻ってくる時には既に女郎蜘蛛は俺の目の前にいた



「ギチチチチチ!!」


 女郎蜘蛛が黒い腕から爪のようなものを生やして高くあげる



 俺は殺されるんだと身体が本能のままに感じてしまった。そして今まで生きてきた俺の生が一気に俺の頭に蘇ってくる、走馬灯というやつだ




 そして記憶を瞬間的に遡っていくとある記憶にたどり着く



 これは俺が4歳ぐらいの時に婆ちゃんの家に遊びに来た時に婆ちゃんと縁側で日向ぼっこをしていた時だ


 確かこの時婆ちゃんからお伽噺を聞いたっけな...内容は──



 平安時代、日本には多くの妖怪やお化けといった魑魅魍魎の類が住み着いていた


 妖怪といっても多種多様でいい妖怪から悪い妖怪まで沢山いたらしい


 人と妖怪は決して交わらないもの、これが万物の掟であった


 しかしその掟を破って悪い妖怪達は人の命を貪り尽くすように喰らい尽くして人間の生活を脅かしていたらしい


 その時に出てきたのが妖怪を退治する者たちだ、彼らは守護神や守護霊の力を借りて鎧を纏い人々を悪しきもの共から守っていた


 これが祓魔師の始まりと言われている



 そんな時代にとある若い男の村人がいたらしい、その男は毎日の日課で山に狩りに出かけていたということだ


 いつものように山の中を散策していると1匹の白狼を見つける。男はこいつは高く売れるぞと思い白狼にゆっくり近づいていく、そしてあることに気がついた


 その白狼は全身傷だらけで今にも倒れてしまいそうなほど憔悴していたのだ。それを見た男はどうしたわけかその白狼を保護して自分の家まで運び、怪我の看病をしたらしい


 男の献身もあってか白狼はみるみる元気になっていったということだ、そして白狼を保護してから1週間後男が山から帰ってくるとそこには白狼の姿はなく、代わりに1本の刀が置かれていたらしい。刀を見た男はそれを白狼が看病のお礼に置いていったものだと考え家宝にしようと心に決めた



 そしてそれから10年後男は家庭を持ち、美人な奥さんと可愛い子供と幸せに暮らしていたということだ


 そんな幸せに暮らしていた時である。轟音が村中に鳴り響き山の方から突如鳥たちが羽ばたき出し空を覆う


 何事だと思った村人達は轟音がした方を眺めていると山から白い何かが見えてくる。それは徐々に徐々に姿を出し始める。そしてその姿は巨大な人の頭蓋骨であった、そうその化物は妖怪「餓者髑髏」


 人の怨霊の塊が具現化した巨大な骸骨の化物だ



 餓者髑髏は巨大な体を動かしながら村へと近づいてくる


 木々をなぎ倒し轟音を鳴り響かして村を襲おうと近づいてくる


 それを見た村人たちは慌てふためき大騒ぎをする


 かくいう男の家族もその村人たちの中の1人だ


 そしてついに餓者髑髏が村を襲い始める

 村人を掴んでは喰らい、家屋を倒しただ暴れ回る


 そんな悲惨な光景を見た男は神に願った


「どうか我々をお救い下さい、あわよくば皆を守る力をください」と


 そして男の願うと、山の方から


「アオォォォォォォォォォォオン!!!」


 1匹の狼の遠吠えが聞こえてくる


 男はこの鳴き声に何故か聞き覚えがあった。そしてこう言われている気がした


「俺が与えた刀を持ってこい」と


 男はその言葉を聞いてすぐに自分に家に大事に飾ってあった十年前白狼が残した家宝の刀を手に取る


 刀は光輝きはじめ男はゆっくりと刀を抜く



 そして刀身に書かれていた文字は──





「......神衣(カムイ)..」



 女郎蜘蛛の腕が俺に襲いかかろうとした瞬間俺がそう呟くと手に持っていた刀が突如光出して女郎蜘蛛の腕をはじき飛ばす



「やっと俺の真名を言いやがったか!!遅すぎるんだよ!!もっとだ、俺の名前をもっと叫びやがれ!!俺の真名を知ってるって事はその刀の力も知ってるはずだ!!」

「刀の力...」


 そう、そのお伽噺には続きがある


「神衣」と呟いた男の周りを突如白い鎧に包まれた。そうそれは祓魔師がやっている「神装」と呼ばれる守護霊や守護神の力を纏う技



 そして守護神「白狼・神衣」の力を纏った男は餓者髑髏を倒して村を救う


 その後祓魔師としてなった男は苗字を国からもらう



その苗字は「九堂」



「あぁわかる!!婆ちゃんが話していたのはただのお伽噺じゃなかった!!今なら何故婆ちゃんがあの話をしたのかもわかった!!」


 そうだ、婆ちゃんは俺に九堂家の秘密を俺に教えるためにあの話をした。そしてその伝説の刀を俺に引き継がせたのもちゃんとした理由があったんだ



「ならもう一回俺の真名を叫べリン!!」

「あぁいくぞ!!「神衣」!!」

「来た来た来たぁ!!久しぶりの神装だ!!かっこよく決めようぜ!!神装解放ォォォォォォォォ!」


 刀が輝きを増し、俺は瞳を閉じてその光に包み込まれる


 そして俺が目を開けるとーー


 俺は白いフルプレートの鎧に包まれていた


「これが神装...」

『おうよ!やっとだぜ!』

「その声はカムイか?」

『あぁ!!九堂家の守護神「白狼・神衣」とは俺のことよ!!』


 俺は手をにぎにぎしながら感触を確かめる

 うちから爆発しそうなほどのエネルギーを感じる


『どうだ神装を纏ってみた感想はよ』

「まぁ悪くは無いな」



 なんとなくスーパーヒーローになった感じで恥ずかしいがこういうのは悪くないかもな


「なぁいろいろ聞きたい気があるんだが...」

『話すことはあるが、その前にあのブス女をどうにかしようぜ』



「ギィイィイィ!!!」



 少し前に刀の光に吹き飛ばされた女郎蜘蛛がぐちゃぐちゃにした顔でこちらを睨んでくる



「とりあえずぶっ倒せばいいんだよな?」

『あぁ今は難しい事は考えるな、力任せにぶん殴れ!!』

「...あぁわかったよ!!」


 俺は脚に力を込めて一気に女郎蜘蛛に接近していく。俺の予想をはるかに上回りスピードで自分が動いているので内心かなり驚いていた



『今だ、殴れ!!』

「うぉぉぉぉぉぉ!!」



 俺は拳を振りかぶり女郎蜘蛛の腹にねじり込むように拳を撃つ。すると自分でもびっくりするぐらいのパワーが拳から放たれ女郎蜘蛛の身体がくの字に折れ曲がって宙に少し浮く


「ギュルギィ...ギィ...」

『もう1発!!』

「おら!!」

『今度は蹴り!!』

「どらぁ!!」

『そこなら連撃を決めろ!!』

「オラオラオラオラオラぁっ!」


 俺は自分でも信じられないようなパワーとスピードで女郎蜘蛛に攻撃を仕掛け、トドメの回し蹴りで再び女郎蜘蛛をぶっ飛ばす



『さて、仕上げだ。いっちょかっこいい技でも決めてみろ』

「いや、そんなこと言われても困るんだが...」

『右手に力を溜めるイメージをしてぶっぱなせばいいんだよ!!』

「力を溜めるねぇ...」


 俺は試しに拳を握って力を溜めるイメージをしてみる。すると拳が白い光を輝き始め出す


「こういうことか?」

『そういうことだ!!それをバカでかく溜めてあの女郎蜘蛛にプレゼントしてやれ』

「了解」




 俺は拳にパワーを溜めながらゆっくり女郎蜘蛛に近づいてく


『なんかかっこいい名前つけろよ?ちなみにゲンジは「白狼掌」ってつけてたぞ』

「ゲンジって爺ちゃんのことか?」

『あぁ前の俺の相棒だ』



 今言ったとおりゲンジは俺の爺ちゃん、俺が生まれる前に亡くなったから写真でしか顔を見たことがないんだ



『そろそろ漢字も飽きてきたしなんか横文字でかっこいい名前頼むぜ』

「横文字?あー...んー...OK、やってみるか」

『おうおうどんなのか楽しみだぜ!!』


 俺とカムイは軽快に言葉を交わらせながら女郎蜘蛛の元までいく


「ギギ...ギィ...ギィ...!!」


 既にさっきの俺の連撃で虫の息女郎蜘蛛に俺は拳を振りかざし



「くらえ!!フェンリルショットォ!!!」



 そして拳から撃ち放たれた膨大なパワーの塊が女郎蜘蛛を飲み込み全てを消し去る



『くっくっく、「フェンリルショット」か。気に入ったぜ』

「そうか、そりゃありがと......ってあれ?」


 突如身体から力が抜けてその場に倒れてしまう。そして倒れてすぐに鎧が光と共に消え去ってしまう


「初めて神装を出したから身体の限界だったみたいだな、少し暴れすぎたな」

「やばい、力が入んない...」



 全身の力が入らなくだんだんと意識が朦朧としてくる


「まぁどうにかして俺がヒサコの家まで運んでやるよ......ってその必要もないみたいだ」

「それは一体どういうこと...」


 俺はしっかりと言い切る前に瞳を閉じてしまう。なんかカムイが誰かと話しているっぽいけど意識が朦朧としていて何を話しているかよく聞こえない



 最後に俺の耳に声が届く



「燐君、お疲れ様。頑張ったね」



 そして俺は意識を手放した

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