第九話 エンキリと親戚
久しぶりの更新となりました。忘れちゃっている人はお手数ですが初めから見てくださいね♪感想、メッセージどちらもぜひ送ってもらいたいと思います。
九、
家族がいればやはり、親戚というものがいるのは自然だ。勿論、俺にも親戚というものが存在しており……俺より年下が何人かいる。一番年齢が近いのは一歳年下なのだが、変わった連中が多いのはやはり、家系だろう。その親戚も変わった人物で……金持ちとの結婚を破棄。ずったずたに縁の糸を切断したそうだ。最後に会ったのは………一年以上前だろうか?
―――
『二年三組縁切霧耶君、ご親族がおいでです。今すぐ職員室まで来てください』
「ん?」
学校でこのように放送された人はわかると思うが、こういうものは他人の注目を集めるものだ。それがイケメン転校生ならばなおさらだろう。
「縁切、寝癖つけながらポーズとってないでさっさと職員室に行ったらどうだ?しかもなんだ?何で窓から出ようとしているんだ?」
ち、ばれちまったか………俺は理由を友人Aに述べる。
「おいおい、俺みたいなクールガイな転校生が廊下を歩いちまったら前女子生徒がときめいちまうだろ?ハートを狙い撃ちしちまわないようにしのんでいかねぇとな♪」
「………焔華、あんたの師匠になった人って馬鹿じゃない?」
「むぅ、師匠は違った考えの持ち主なのだ」
おい、焔華………なにやら悲しそうな目をして俺を見るな!
「ったく、走っていけばいいんだろ、走って………」
俺はそのまま廊下を颯爽と走ってかっこよく職員室に行こうとしたのだが………
「こらぁ!廊下は走るな!!」
「………すんません」
先生に怒られる羽目となったのだった。
―――
職員室に着いた俺に担任の先生が告げた。
「遅いですねぇ、何をしていたんですか?」
「いえ、ちょっと先生にわからない問題を教えてもらっていました」
先生、ボクは学校の廊下が箸ってはいけないということを知りませんでした!
「まぁ、いいでしょう…………放送でも行っていた通り、あなたのご親族の方がお見えになられていますよ」
誰だろうか?俺は扉の前でふと考える。
ううむ、誰が来たによってか俺の今後の学園ライフがかわっちまうかも知れん。親父:ありえないな、あの人物が迎えに来てくれるとは思わん。母さん:重ねてありえないな。姉さん:いたずらにでも来たんだろうか?爺ちゃん:来たのなら俺を連れて行こうといや、逝こうとするのだろうな。ばあちゃん:俺に制裁を加えに来たのだろう。
どれもこれも穏やかなものではなかったので俺はひやひやしながら職員室の扉を開けたのだった。
「あ………」
そして、俺の眼に映った人物は上の人物たちとは一応関係を持っている人物でもあったのだがあまり関係が無いといえば関係が無いというような感じの人物だった。
例えるのなら?遠くに住んでいる親戚って所だろう………まぁ、そのまんまなのだが。
俺の眼に映ったのは俺の親戚、古那優だった。
「………どうも」
「あ、ああ………」
言いにくいというか、非常に恥ずかしいことなのだが俺はこの一年年下の女の子が非常に苦手だった。これまで会話が成立したことなど一度もなく、だんまりを決め込んでしまえば絶対に口を開いてくれないような人物だ。そういう人物が苦手な俺としては会っただけで顔色が悪くなるのは必然だ。
「………先生、先ほど説明したとおり霧耶さんを連れて帰ります」
「ええ、どうぞ」
先生に頭を下げて優は俺の手を掴んで職員室を出て行く。
当然、手を掴まれている俺も一緒になって職員室を出て行き、そのまま廊下を歩くことになった。このままでは黙ったままでリードされてしまい俺は気がついたらがけの上から落とされていたような状況に陥るかもしれん!そんな馬鹿なことを考えながらも俺はとりあえず動きを止めることに最善を尽くすことにしたのだった。
「な、なぁ、今日は突然訪問してどうしたんだ?誰かの葬儀か?」
「………用があったんです」
「ええと、何だ?」
そうたずねるとまるでほこりをみるような視線をぎこちなく俺の目に合わせて告げた。
「………先日、エンキリ一族上位十名に名前が入った」
「へ、へぇ………ってなにぃ!?何位だ?」
「六位………」
6とは1、2、3、4、5の次に来る数字である。
さて、そんなことはどうでもいいと思っている読者の皆さんは覚えているだろうか?俺は第5番目で7、8、9、10の連中が俺のことを監視していると以前言ったということを………第6番目の説明を忘れていたのだが、第6番目の席は開けられていた。
順位を決定するには半年前からの準備をかけて儀式が行われるのだ。
その儀式で見事に成功すれば見事順位を勝ち取ることが出来るのである。ちょっとおかしい話だが自ら順位を抜けるといわない限りその順位は変わらぬままである。まぁ、うちの一族はプライドが高いがそういうところはきちんとしているので自分の力が弱くなったと知るとすぐに自分の位を下げる傾向があるのである。
「つまり、6位となった優は………」
「………霧耶さんのお目付け役となりました」
「おめ、お目付け役!?」
監視者との違いはいちいちつっこんでくるところだろうか?もともと、この古那優というエンキリは一族の中でもずば抜けた能力を所有しており、宗家の人間ではないが能力だけでここまで上り詰めたといっても過言ではない。古那家とは親戚と言っていたが遠い親戚であり、血がつながっているのかさえ怪しまれていたりもしたというほど疎遠だった家系なのである。
「………で、でもお前この前許婚との一件で無断外出とか駄目になっただろ?何でここにいるんだ?」
俺と同じように優は自らの許婚との縁を切り裂き、その結果俺とは違って家に軟禁されていたそうだ。反省文を用紙何百枚か書かされたと聞いている。
「………終わらせました。その結果、私はあなたのところに心を入れ替えたものとしてあなたを諭すように言われてやってきたのです」
「………」
「………実際のところはそのようなことはしません。ですから、安心してください」
珍しく優にしてはしゃべっているほうだろう。昔は
「うん」とか
「はい」とかしか言わなかった。ああ、そういや一度も否定をしたことなんて無かったな。
「本当にそれだけのために来たのか?」
「………鋭いですね、実のところはそれだけではありません。霧耶さんのお姉さんが後ほど仕事を持って霧耶さんのもとへとやってくる予定です」
なるほど、実力者ぞろいのところへ姉さんが仕事を持ってくるのか………って!
「ね、姉さんがこっちに来るんだって!?」
俺はたまらず優の両肩を掴んで顔を目一杯近づけて優に尋ねる。普段は眠たそうにしている両方の目が最大限まで開かれており、意外と大きくてくりっとしたかわいい目であることが判明した。
「………え、ええ………そのように伝えておいて欲しいと、だから霧耶さんが相対できるようにここまでやってきたんです」
「そうか、ありがとう……」
俺の姉さんは非常に風雅人で、部屋を散らかすのが得意という姉さんはクリーンで清潔感あふれるこの俺にとっては天敵のような存在なのである。ましてや、あんなだだっ広い家にきちんと
「お姉さまの部屋」と扉の前に張り紙を張って上げなくてはあの人は家中を間違いなくごみにしてごみ屋敷にしてしまうだろう。
俺は優の手を掴むと町内の清潔と俺のクリーンで最高なイメージを守るべく、昼からマラソンを開始したのだった!急げ、俺!俺の清潔は俺の両肩にかかっているのだ!




