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イーブン・イフ  作者: 裏柳 白青
6. Rail Way
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第99話

「あとは…中学のとき凪砂くんと何かあったのか、とか」

「何かあったの?」

「ありません」

「元カレがどうって話してたのは凪砂くんと関係あるの?」

「ちょっ…來未ちゃん聞いてたの!?」


 1次会の話を掘り返され、何も知らないりっちゃんが驚く。


「え! ミツ、彼氏いたことないって言ってたじゃん!」

「それは本当だってば! なんていうか…ちょっと特殊な関係で…建前は元カレだけど、お互いそんなつもりなかったっていうか…」

「友達以上恋人未満?」

「そういうわけでも…」


 その話を説明するためには、私が凪砂くんを好きだったという大前提が必要になる。どうしよう、そこは説明したくない。


 だって、私はいま現在、凪砂くんを好きなんだ。それがバレてしまったら。


「…まぁ、元カレの話はこの際関係ないとして。渋谷さん、どう思います? 久重先輩、いい加減しびれを切らしてるって感じですね」

「そうですね、棚辺さん。元々久重先輩がミツを好きなのは分かりきってましたし、いつ告白してもおかしくない。ところが先輩が攻めあぐねているうちにミツの昔の同級生という強敵が現れ、まさかの非常事態というところでしょうか」


 解説するように淡々と喋る來未ちゃん。もし久重先輩が私を好きならという前提はクリアされているかのよう。…確かに、ここまできたらクリアされてるとは思うのだけど。


 ただ、私はもう、好きじゃない。


 でも、そうは言えなかった。先輩達にも広まって、2年生の中にも浸透して。それなのに、今更言えない。來未ちゃんはじっと私を見ているけれど、何も言わない。


「じゃあ、先輩が告白できるシチュエーションを作ってしまえばいいのではないでしょうか」

「え?」


 面食らった私に、りっちゃんはその長い人差し指をぴんと立てた。


「ミツ、今は何月ですか?」

「は、8月…」

「季節は?」

「夏です…」

「夏と言えば?」

「…お祭りと花火とプールと海と、」

「久重先輩と行きなさい」


 ひくっ、と、頬がひきつった。それ、は。


「そのどれかに行って告白されなかったら、とんだヘタレな先輩だったということで新しい男を探しましょう」

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってりっちゃん、」


 確かに、いくら鈍い私でも分かる。水族館はまだしも、例えば花火に先輩と2人で行って告白されないわけが…ない。と思う。


 けれど、告白されたら、どうすればいいの。


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