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イーブン・イフ  作者: 裏柳 白青
6. Rail Way
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第93話

 男の先輩2人が前にいるんだから、我ながら少しは可愛子ぶればいいのに…、なんて思ってしまうけど。そんな私を見てる永沢先輩が、キョトンとした顔をした。


「ミツって酒飲めたっけ?」

「いえ、あんまり飲めないです。だから乾杯の一杯だけにしようと」

「ペース気を付けんとそんだけで酔うやろ、お前」

「だから気を付けますってば!」


 からかう久重先輩の言葉に笑って返しながら、受け取ったウーロン茶を栄美ちゃんのグラスに注ぐ。


「飲めるイメージはなかったけ…ミツってそんな弱いっけ?」

「弱い、ですね…最近ちょっと慣れたんですけど、結構グラス一杯でもきちゃいます」

「だよなぁ。新也、お前結構いける?」

「いけますね。ただ、サッカー部の後輩にめちゃくちゃ強いヤツいるんすけど、やっぱそういうヤツ見てると普通やなぁって思います」


 ほら、凪砂とか、と名前を出されて、ビクッと心臓が跳ねる。栄美ちゃんが首を傾げた。


「ナギサ…って、もしかしてさっき光宗先輩と一緒に話してた人ですか? 背が高くて色が黒い…」

「え、あ、うん、そう、だけど…見てたのね、栄美ちゃん…」


 1年生の誘導中に来た凪砂くん。許さない。


「先輩と親しそうだったので、思わず気になって見ちゃったんです~」


 えへへ、と栄美ちゃんは笑うけど、どこまで見てたんだろう。頬をつねるところから怒るところまで、一部始終を聞いてたり、見てたり、したのだろうか。


「新也の後輩だろ? ミツ、なんで知り合い?」

「あ、えーっと、法学部で…あと中学の同級で…」


 久重先輩が知ってる以上、隠すと変に思われるかも、と思って暴露する。へぇー、と頷いてみせる永沢先輩。そのとき、ぽんっと栄美ちゃんがその手を叩いた。


「そうだ! そのとき話してた、先輩の元カレさんの話聞きたいなと思って!」


 ──心なしか、空気が凍りついた。まさかそこまで聞いてたなんて、と私が思ったのもあるけど、どうして久重先輩と──永沢先輩まで。


「良かったら、また今度聞かせてください!」


 栄美ちゃんもそれに気づいたらしく、慌ててその話題を終了させるような発言をする。ほっとして「そうだね」と返すと、丁度綿貫先輩が立ち上がった。


「えー、みなさん、まずは試験お疲れ様でした! 1年生のみなさんは──」


 みんなの視線が一斉に綿貫先輩に向く。けれど、乾杯の音頭は前部長の真木先輩。そのための繋ぎの挨拶を聞いていると、栄美ちゃんがこそっと私に耳打ちした。


「先輩、すいません、なんか変なこと聞いちゃったみたいで…」

「いいよいいよ、気にしないで」


 それに小さな声で返しながら、どうして永沢先輩まで、と首を捻る。久重先輩は──自意識過剰かもしれないけど──その理由に察しはつく。でも永沢先輩が何故。


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