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イーブン・イフ  作者: 裏柳 白青
6. Rail Way
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第90話

「マジ? じゃあ地元こっち?」

「んー、そうとも言うかな。中学まではこっちいたから、じいちゃん家あるし」


 そうなんだ…、と、頭上の会話に頷いた。


「じゃあ通い?」

「いやー、下宿。俺もじいちゃん家に住む予定で後期にこっち受けたんだけどさ。意外と遠くて無理だったんだよな」

「そうなんだ」

「お前は? 通い?」

「いや、俺は地方から出てきた」


 初対面の人独特の会話が繰り広げられる。その中で、私が知らない凪砂くんの情報が出てくる。大した話ではないんだけど、最近ふと思った疑問が解消された。


 わいわいと私の上で盛り上がる男の子2人。四ツ橋くんも高校のときにサッカーをしてたとかで仲良くなっていく。中学のとき凪砂くんの試合を見に行ったことはあるけど、あんまりルール分からない。


 会話についていけないし、サッカーの話してるなら何か変なこと言われる可能性もないし、なんて思ってたせいで上の空になる。自己紹介で何喋ろうかなー、と。


 その時、むにっと頬がつねられた。


「お前、焼けたな。毎日日傘差してるくせに」

「仕方ないでしょ、季節なんだから。大体凪砂くんに言われたくないんだけど?」


 特に表情も変えず無遠慮に私の頬をつねってきた凪砂くん。やめなさいとばかりにその手を掴むと、四ツ橋くんが驚いた顔をする。


「え…光宗って桐生と付き合ってんの?」

「はい?」

「あー違う違う。中学ん時のノリだよ」


 私が顔を赤くする前に、凪砂くんが手を放して否定した。そこまで軽く、自然に否定されると、少し胸が痛む。


「へー、じゃあ中学で結構仲良かった?」

「あぁ、コイツ含めて4人でいっつもつるんでたし」


 私と、桃花ちゃんと、凪砂くんと、ひっしー。その時を思い出すと、少し切なくなる。


 元々、桃花ちゃんと凪砂くんが幼馴染で仲が良かった。凪砂くんとひっしーが仲良しで、桃花ちゃんと私が仲良くて、私がひっしーと仲良くなって、そうして私と凪砂くんが仲良くなった。


 そう言えば、試験が終わったらひっしーに連絡してみようって思ってたっけ。


「男女4人? 恋愛沙汰起こりそうですねぇ」

「あぁ、コイツともう1人の男が付き合ってたわ」


 ──その言葉に、ギョッとして、俯いていた顔を上げた。


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