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イーブン・イフ  作者: 裏柳 白青
6. Rail Way
88/108

第88話

 部室に着くと、私と同じく誘導役の四ツ橋くんが振り向く。


「光宗、お前ら最後だから、あと5分くらいで出発」

「あ、そうなの? ごめん、試験終わってすぐ来たんだけど」

「いいよいいよ。試験お疲れ」


 栄美ちゃんがぺこりと頭を下げて、朋子ちゃん達に合流した。りっちゃんも來未ちゃんと合流していて、私と四ツ橋くんは顔を見合わせる。


「誘導って先輩達からだっけ?」

「いや、今日だけは1年から。だから俺ら先頭だよ」

「そっかそっか」


 了解、と頷いて時計を見る。20分になったら出発。

「そーいや光宗、席順確認してる?」

「あ、してない…四ツ橋くん見たの?」

「うん、一応。宏林先輩と一緒ってのは確認した」

「良かったじゃん、押しメンの先輩と一緒で」

「う、うるせーな」


 四ツ橋くんが少し頬を染めてそっぽを向く。四ツ橋先輩は宏林先輩に憧れて入ることを決めたんだというのは、最初の1年生親睦会で暴露されたことだからみんな知ってる。ふわっと揺れた黒い前髪がその同様を表してるみたいでくすりと笑ってしまう。


「そーゆー光宗は、久重先輩と一緒だったぜ、席」

「え」


 思わず頬を緩めながら尋問しようとしていたのに、その言葉に硬直した。


「斜め前な。席順決めたの3年だろ? マジで光宗と久重先輩できてんじゃねーかって思ったわ」


 四ツ橋くんは宏林先輩のことを指摘されて余裕がないのか、それに気づかずに続ける。でも私の心臓はそのせいで余計にうるさくなる。クーラーの効いた部室に入って汗は引いてたのに、代わりに冷や汗も噴き出てきて。


「つか、実際どうなの? 久重先輩と仲良いじゃん」

「な、仲は良いけど…そーゆーのじゃないから…」

「ふーん。でも、久重先輩と光宗が絶対くっつくってみんな言ってるけどな」


 ぎゅっと胸の辺りを手でつかむ。それは、そうなんだろうけど。あんなに勉強会の度に絡んでたら。久重先輩と特別仲良い伊勢先輩以外が何か勘ぐるのも当然。


「で、でも、先輩後輩カップルっているっけ?」

「今はいないけど、基本結構いるって聞くじゃん。特に男の先輩と女の後輩」

「まぁ、勉強教えてもらうから、そうなるんだろうね」

「そーだよ。つかお前、さり気無く俺と宏林先輩の可能性否定しないでくんない?」

「ごめんごめん。でも男の先輩と女の後輩って言ったのは四ツ橋くんだから」

「ちぇっ。いーよな、光宗は王道ルートで」

「だからそういうのじゃないってば!」


 慌てて否定するけど、調子を取り戻した四ツ橋くんは肩を竦めてこたえた。まだほんのりとその頬は赤い。


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