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イーブン・イフ  作者: 裏柳 白青
5. Alter Ation
69/108

第69話

「アイツ、1年のときに部活のマネのこと振ったんだけどさぁ。なんか面倒なマネで」

「面倒…?」

「『私のことフッて他の女の子と付き合うの?』って」


 甲高い声を出してくれた自家先輩にりっちゃんが吹き出す。けれど、冷静な來未ちゃんはヘンなものでも見るような目をした。


「元カノだったんですか?」

「いや、違う違う。普通に告白されて、フッたの」

「セリフおかしくないですか…?」

「んー、なんだろう、ヤンデレってああいう女子言うの?」


 ちょっと違う気はしたけれど、詳しい話は知らないし、ヤンデレの定義も私にはよく分からなくて何も言えなかった。


「同じ部活のマネだし、久重もあの性格だから邪険にできなかったみたいでさ。はいはいって言ってるうちに、マネの存在を知った女子は手を出さなくなった」

「よく分からないんですが…」

「最初は久重が別のマネと喋るだけで『私が久重くん好きだって知ってるのに配慮とかできないのかな?』って」

「それ…何様なんですか…」


 また自家先輩は甲高い声で真似をしてみせる。りっちゃんは今度は笑わず、寧ろひきつった顔をした。でも私の顔も多分同じようになってると思う。


「さぁ。最初はみんな笑ってたんだけどさぁ、だんだん久重もげんなりしてきたのが目に見えてたから」

「みなさん知ってるんですか?」

「伊勢が言いふらして」


 伊勢先輩…。


「アイツも今はそのマネの上手いあしらい方覚えたみたいだし、半分は笑い話だけどな」

「なんだか遊んでるみたいですね、久重先輩」

「そんなこと言ってやるなよ」


 ケタケタと自家先輩は笑った。もしかして、凪砂くんが言ってた“春香さん”のことかな。元カノでも何でもないとか、すぐに嫉妬するとか、そんな話してたし。


 その話だったんだ、と今更納得する。


「だから久重は彼女できないんだよ。2年のお前らには秘密にしてたんだなー。ミツと仲良いからバラされたくなかったんだろうなぁ」

「ただの仲良い後輩ですよ」


 傍から見てそんなに仲良かったんだ、と、思う。だとしたら、今の久重先輩と私って、かなりぎくしゃくして見えるんだろうな。


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