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イーブン・イフ  作者: 裏柳 白青
4. Re Strain
57/108

第57話

 スープ持って来て、と言われて、慌てて頷いてスープを入れてリビングに向かう。ごとっとお皿を置いた凪砂くんは、偉そうにソファに座ってふんぞりかえった。


「ね、ねぇ…桃花ちゃんと何かあったの?」

「だから言ってんじゃん。卒業式に言われたんだよ、付き合おうって」

「…それで、」

「もちろん、ノーに決まってんだろ。それどころか、マジでむかついて、連絡取ってねぇ。そのためにわざわざアドレス変えたし」

「そこまで…しなくても…」

「まぁ、アイツもアイツで俺の連絡先探らなかったけど。桃花と離れられたから、マジで転校して良かったわ」


 差し出したスプーンを手にしながら「いただきます」と凪砂くんは手を合わせた。私も隣で手を合わせる。


「…そんな言い方しなくてもいいじゃない。桃花ちゃんだって凪砂くんのことずっと好きだったわけだし、」

「別に俺を好きだろうがなんだろうが知ったこっちゃねーが。だからって外堀から埋めて恋人ごっこを強要するとか、ただの迷惑」


 忌々しげに凪砂くんは呟いた。そっか…と呟くような返事をする。なんで、そこまで桃花ちゃんの告白が嫌だったのか、分からない。それ以上のことが、あったんだと思うんだけど。教えてくれないのかな。


「…それで、ひっしーとは何話したの?」


 ひっしーは、凪砂くんの親友。今朝先輩に嘘をつくときに頭に浮かべた人でもある。


 かっこよくて優しくて、野球部キャプテンだったみんなの人気者。高校は別々だったけど、中学のときは桃花ちゃんも含めて4人でよく遊んでた。


「別に…アイツ、お前がうちの大学にいることは知ってたからな」

「そうなの?」

「野球部副キャプだった青木、高校も同じだったろ」

「あ、うん。そう言えば青木くんもうちの大学だっけ…」

「工学部だけどな。それで、お前もいるって聞いたらしい。青木、お前のこと好きだったらしいじゃん」

「………あのさぁ、なんでそれ私に言うの?」


 サラリとデリケートなところをつつく凪砂くん。頬をひきつらせた私に、凪砂くんは無表情を向ける。


「お前、マジで痩せてからモテたんだな」

「そ、そうね…でも青木くんくらいかな…」

「あぁ、フッたのが?」

「……それで、他に何話してたの?」


 掘り下げられてはたまらないと話題を変える。凪砂くんは「別に、」と言いながらオムライスを頬張った。


「大学では野球やってないとか、浪人中どうだったとか、お前が今日先輩とデートしてるとか」

「ちょっと待って。最後」

「いいだろ別に。アイツにもお前の恋愛事情知る権利くらいあるんじゃね」

「あのねぇ…まぁ別の大学ならいいけどさ」


 はぁ、と溜息をつく。確かに仲良かったし、当時は凪砂くんが好きだって相談にも乗ってもらってたけど。凪砂くんがそれを知ってるわけじゃあるまいし。


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