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イーブン・イフ  作者: 裏柳 白青
2. Cut In
25/108

第25話


「いい? もし、ミツがデートのつもりで久重先輩をご飯に誘って、じゃあ今度みんなで行こうって言われたら、どうする?」

「…それは、まぁ、ただの先輩と後輩だし、仕方ないかなぁって…」

「そう。その通りよ」


 びしっとりっちゃんは私の額を弾いた。


「あ痛っ」

「もし久重先輩が本気なら! あれはどう思うでしょうねぇ?」

「えっ、えっ、もう駄目なの?」

「うーん、駄目とは言わないけど。久重先輩が本気だとしたらちょっとね…」

「りっちゃん!」


 頼むから見放さないで、とすがりつく。ふむ、とりっちゃんは顎に手を当てた。


「これからの駆け引きしだいかな。っていうか、久重先輩が本気なのかどうなのか分からないのが一番問題かな…」

「…その通りだよ」


 はぁ、と溜息をつく。ちょうど先輩達も出てきて、みんなでぞろぞろと駅の方へ向かうのだけど、幸か不幸か、私の隣には久重先輩が来た。そのせいでりっちゃんとの話は強制終了。それどころか気を利かせたりっちゃんはすっと私の隣から消えた。


「なぁなぁ、さっきの話やけど」

「え」


 そう切り出され、心臓が飛び上がった。さっきのって何、ご飯食べてる時にしてた話? それともりっちゃんとの話、聞かれた?


「ミツと凪砂って結構仲良いんやな」

「あ…」


 ご飯食べてる時のほうか、とほっとした。心臓はまだバクバク言ってるけど。


「まぁ…なんというか、中学のときに、それなりに仲良かったので…」

「共通の友達がいたから?」

「そ、そうです! その、小学校の時から仲良かった男子が、凪砂くんと仲良くなって…それでそばにいた私も…」

「そーなんか。いいなー、俺もミツみたいな可愛い女の子紹介してほしい」


 …冗談でも、可愛い可愛いと言われると、顔が熱くなる。


「で、でも、中学のときの私、すごく太ってて! 桐生くんなんて、初めて話した時、大福みたいとか言ったんですよ!」

「大福…」

「なんかもちもちしてそうとか言いだして、私のほっぺ触って名実ともに大福だとか笑い出して! 酷くないですか! 自己紹介する前からそんなこと言われて、名前は大福じゃないんだとか意味わかんないこと言われて…桐生くんだって、中学1年のときはちっちゃくて、顔も女の子みたいだったんですよ? それが今になって──」


 当時の話をしてて、はっと気づく。こんな話してどうするの、私。


「す、すいません、どうでもいいですよね…」

「いやー、いまのミツ、腕とかめっちゃ細いから。大福とか意外やな」


 ははは、と久重先輩は笑うけど、若干愛想笑いな気がする…。先輩に気を遣わせてどうするの私。


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