第21話
はぁ、と溜息をついた。月曜日から憂鬱。でもいいのよ、明日になれば勉強会があるから、そしたら久重先輩に会えるから…!
「おい」
「……何よ」
私のことを「おい」なんて呼ぶのは桐生くんしかいない。突っ伏してた状態から顔を上げて振り向くと、桐生くんがひらひらとレジュメを振っていた。第2回のレジュメ。
「……今日は第4回よ」
「だから言ってんだろ。見せろ」
「……何でよ」
「寝てたからメモってない」
「…だから何で私があなたにレジュメを見せてあげなきゃいけないのかって言ってるのよ!」
「首のほくろがエロ「ごめん分かった見せる待って取り出すから」
にやにや笑う、まさにゲス顔。ばっとその口を片手でふさいで待ったをかけ、バッグの中のファイルを取り出して第2回のレジュメを探す。
「その話誰かに聞かれたらどうするのよ。学校で言わないでよ…」
「別に俺は困らないし」
「私が困るの!! 私なんのためにあなたに夕飯作ってるのか分からないじゃない…」
こそこそと話して、何で口止め料払ってるのに口止めされないのよ、おかしいじゃない、とぶつくさ言いながらレジュメを渡す。さんきゅー、と言って、桐生くんは席に戻った。
その様子を見てた來未ちゃんとりっちゃんが不思議そうに私の顔を覗き込む。
「なになに、桐生くん、妙に機嫌良いじゃん」
「何かあったの?」
「何も!!!」
思いっきり何かあったけど。と思ったせいで、全身全霊で否定して、2人が怪訝な顔をする。
ほら、講義始まるよ、なんて言って誤魔化しながら2人を座らせる。後ろにいる桐生くんがにやにやしてるのが目に浮かぶ。
本当に、もう。勘弁して。




